E・E・スミス関連年表

本年表は元々“宇宙のスカイラーク”執筆時にスミスが知っていた科学知識はどの程度か?またどの程度まで知っているべきだったか?を明らかにするために作成されました。
しかしながら、見てお分かりのように“どこがE・E・スミス関連年表やねん”という内容になってしまいました。これも一重に筆者の気まぐれと優柔不断が招いた結果ではありますが、クラシックSFに興味のある方にはむしろこの方が面白くなったと自負しております。
尚、本表についてはほとんど全てが資料の引き写しでありますが、間違いについてはすべて筆者の誤記であります。また当然の事ながら資料的価値は一切無く、これを元にして受験勉強に失敗しても責任はとりませんのであしからずご了承くださいませ。
本表の作成にあたって使用した資料については、別に参考資料一覧を作成・添付の予定であります。
本年表にはまだ幾つもの欠落があると思われ、識者のご指摘をいただければ幸甚であります。

錦織正宜

日本の出来事
主な発見・発明

日本のSF・娯楽
関連の主な出来事

西暦
和暦

欧米のSF・娯楽
関連の主な出来事

世界史の抜粋
主な発見・発明

佐久間象山、日本最初の電信機を試作。  

1849
嘉永2年

エドガー.アラン.ポー没 フーコー、最初の光速度精密測定の試み。
ロッシュ、ロッシュの限界を試算。
   

1850
嘉永3年

  クラジウス、熱力学の第2法則を提出。
リーマン、非ユークリッド幾何学(リーマン幾何学)を打ち立てる。
このころ、天体を写真撮影する技術が確立する。
   

1851
嘉永4年

  ロンドン万国博覧会開催される。
フーコー、教会の屋根から吊るした振り子(長さ約60m)を使って地球の自転を実測。
薩摩藩、反射炉を建設。
水戸藩、大日本史を完成。
鶴屋南北“東海道四谷怪談”

1852
嘉永5年

  オーティス、エレベーターを発明。
フーコー、ジャイロスコープ(の原形)を発明。
ペリー浦賀に来航。
田中久重、和時計の頂点“万年自鳴鐘”を発明。
 

1853
嘉永6年

  ケーリー、グライダーを発明。
ケスナー、灯油の精製に成功。
   

1855
安政2年

  カッセル、有線テレビジョンの原理を提唱。
伊藤慎蔵、日本最初の気象学書翻訳。  

1857
安政4年

   
全国にコレラ流行、死者3万。 安藤広重、没。

1858
安政5年

  最初の冷蔵庫が発明される。
   

1859
安政6年

  英国海軍、最初の航洋型装甲戦艦“ウォーリア”を建造。
蓄電池が発明される。
ダーウィン“種の起源”を出版。(注1)
江戸府下の幼児に種痘が施される。  

1860
万延元年

  キルヒホッフ、黒体輻射について研究。
パスツール、生物の自然発生説を実験的に否定。
   

1861
文久元年

  世界最初の暴風警報。
アメリカで南北戦争が始まる。(注2)
始祖鳥の化石が発見される。
寺田屋事件。
生麦事件起こる。
 

1862
文久2年

ジュール・ベルヌ“気球に乗って五週間”を発表。“驚異の旅”小説の有力作家の一人となる。 リンカーン、奴隷解放宣言。
ビスマルク、執政の座に就く。
ガトリング、手回し式の機関銃を発明。
甲鉄軍艦が南北戦争に登場。(注3)
このころ攘夷論最高潮。  

1863
文久3年

  ロンドンで最初の地下鉄が開業。
四国艦隊により下関砲撃さる。  

1864
元治元年

ジュール・ベルヌ“地底旅行”を発表。
F・J・オブライエン“いかにして重力を克服したか”を発表。
 
   

1865
慶応元年

C・S・ルイス“不思議の国のアリス”を発表。 メビウス、メビウスの環を創案。
マクスウェル、光と電磁波が同じ物であることを証明。
ロシュミット、アボガドロ数を実際に計算。
薩長同盟成る。
名古屋から“ええじゃないか運動”起こり、東海道にそって広がる。
福沢諭吉“西洋事情”を発表。 

1866
慶応2年

H・G・ウェルズ生まれる。 ノーベル、ダイナマイトを発明。
体温計が発明される。
ダウブレー、地球の中心部には鉄の核があると提唱。
セツキ、恒星をスペクトル別に分類。
江戸幕府、大政奉還。
薩摩藩、蒸気動力による紡績工場を稼動させる。
 
 

1867
慶応3年

  タイプライタが発明される。
マルクス“資本論”を発表。
福沢諭吉、慶応義塾を設立。  

1868
明治元年

E・F・エリス“荒野のスチーム・マン”を発表。インベンション・ストーリーの先駆けとなる。
ウィルキー.コリンズ“月長石”を発表。
太陽光のスペクトルから“ヘリウム”が発見されるが、地球上には存在しない元素と考えられる。
バカン、世界最初の全地球等圧線図を作成。
函館戦争終結。
東京〜横浜間の電信が開通する。
 

1869
明治2年

ジュール・ベルヌ“海底2万リーグ”を発表。 最初の商用プラスチック、セルロイドが発明される。(注4)
アメリカ大陸横断鉄道が開通。
メンデレーエフ、元素周期表を作成。
人力車が発明される。
最初の日刊新聞“横浜毎日新聞”が発刊される。
 

1870
明治3年

  シュリーマン、トロイ遺跡の発掘に成功。
廃藩置県。封建制度の消滅。士族の不平が高まる。  

1871
明治4年

C・S・ルイス“鏡の国のアリス”を発表。
ブルワー・リットン“来るべき種族”を発表。
ウィーンで第一回国際気象会議開催。
日本海軍創設される。
新橋〜横浜間の鉄道が開通。
福沢諭吉“学問ノススメ”を出版、ベストセラーに。

1872
明治5年

ジュール・ベルヌ“80日間世界一周”を発表。
サミュエル・バトラ、ユートピア小説“エレホン”を発表。
ジョージ・スミス、ギルガメッシュ叙事詩の発掘について発表。
  日本国内に野球が初めて紹介される。

1873
明治6年

  オスラー、血小板を発見。
  ソフトボール競技始まる。

1874
明治7年

  ブラウン、電流を片方向にのみ流す結晶を発見する。(注5)
ホフマイヤ、北半球天気図を作成。
東京気象台が赤坂葵町に設立される。  

1875
明治8年

E・R・バローズ、生まれる。  
  “日本SFの父にして快男児”、押川春浪生まれる。

1876
明治9年

  オットー、4サイクル・エンジンを発明。真に実用的な内燃機関への道が開かれる。
グラハム.ベル、電話を発明。
西南戦争起きる。
ベルの電話機が初めて輸入される。
東京〜横浜間の電話が開通する。
このころ、ジュール・ベルヌの一連の作品が、初めて翻訳紹介され、シェイクスピア作品に並ぶ人気を得る。

1877
明治10年

  スキャパレリ、火星表面に黒い線状の模様を観測。これをカナリ(水路)と命名して発表する。(注6)
ホール、火星の二つの衛星を発見。(注7)
エジソン、蓄音機を発明。
   

1878
明治11年

  パリで、万国博覧会が開催。
   

1879
明治12年

ルイス・P・セナレンズ、フランクリードシリーズ引継ぎ第一作“フランクリードJr.と蒸気の驚異”を発表、大評判となる。 エジソン、炭素フィラメントを使った白熱電球を発明。
ジーメンス、電車を発明。
13年式村田歩兵銃が発明される。  

1880
明治13年

  キューリー、圧電現象を発見。
ホリウス(後のIBM設立者)、電気機械式の計算機を製作。
自由党設立される。
日本最初の暴風警報事業。
東京に警視庁が置かれる。
駄菓子屋に安価な玩具が並び始める。

1881
明治14年

  アメリカで電灯事業開始される。
日本銀行が設立される。
東京気象学会(後の日本気象学会)設立。
 

1882
明治15年

大衆誌アーゴシー誌が創刊される。 第一回国際極年(PolarYear)。
コッホ、結核菌を発見。
鹿鳴館が建設される。
上野公園で水産博覧会開催される。
 

1883
明治16年

フランツ.カフカ生まれる。 ニコラ・テスラ、誘導モータを発明。
朝鮮海峡に海底電線の敷設完了する。  

1884
明治17年

“現代SFの父”ヒューゴー・ガーンズバック、生まれる。 発電用蒸気タービンが発明される。
   

1885
明治18年

H・R・ハガード“ソロモン王の洞窟”を発表。
コナン・ドイル“体外遊離実験”を発表。
スタンリー、変圧器を発明。
ダイムラー、近代的ガソリンエンジンを発明。
ベンツ、自動車を発明。
ベル電話会社がATTに改称。
ゴールドン、指紋による個人の判別法を確立。
シンガポールから回航中だった新鋭巡洋艦“畝傍”が荒天のため行方不明になる。この事件は軍事冒険小説家たちの想像力を刺激し、「南洋に隠された秘密兵器」とか「孤島の秘密基地」などのアイデアを生むヒントとなったという。 言文一致運動起きる。
 

1886
明治19年

ジュール.ベルヌ“征服者ロビュール”を発表。
M・リラダン“未来のイブ”が刊行される。
R・L・スティーブンソン“ジキル博士とハイド氏”を発表。
パーシィ・グレッグ“黄道帯を越えて”を発表。(注8)
コナン・ドイル、シャーロック・ホームズもの第一作“緋色の研究”(長編)を発表。(注9)
ゲルマニウムの発見
フッ素の発見
アルミの量産法が発明される。
ヘルツ、電波を実験で証明。
  二葉亭四迷“浮雲”を発表。
東京音楽学校が設立される。

1887
明治20年

アルベール・ロビタ、未来戦記もの“20世紀戦争”を発表。
H・R・ハガード“洞窟の女王”を発表。
マイケルソン・モーリーの実験。(注10)
ダンロップ、ゴムタイヤを発明。
マッハ、超音速で運動する物体の周囲の気流について研究。
ヘルツ、光電効果を研究。
下瀬火薬が発明される。
“君が代”を国歌に制定。
 

1888
明治21年

E.ベラミイ“来るべき能力”を発表
コナン・ドイル、リピンコット誌の依頼に応じてシャーロック・ホームズもの第二作“四つの署名”(長編)を執筆・発表する。
イーストマン、家庭用小型写真機を発明。商品名をコダックと命名。
大日本帝国憲法発布。
東海道本線が全通する。
このころ幻灯機が流行。

1889
明治22年

マーク・トウェイン、唯一のSF作品“アーサー王宮廷のヤンキー”を発表。 エジソン、映画を発明。
エッフェル塔が完成。
第一回帝国議会開催される。
ラフカディオ・ハーン来日。雑誌契約記者として来日したが、一方的に契約を打ち切られ窮する。後、松江中学の英語教師として赴任。松江の人々と風土を愛し、小泉八雲として帰化。
 

1890
明治23年

E・E・スミス、ウィスコンシン州に生まれる。5人兄姉弟の4番目。
“クトゥルフ神話の紡ぎ手”H・P・ラヴクラフト生まれる。
ロバート・クローミ、球形宇宙船で火星へ行く話“宇宙へ飛び込む”を発表。
スキャパレリ、水星は常に同一の面を太陽に向けているとの見解(もちろん間違い)を発表。“火星の運河”に続いて、また一つ格好のSFネタを提供することとなる。
ラフカディオ・ハーン、松江の冬に耐え兼ね、熊本へ赴任する。
濃尾地震起こる。M8。死者7200。
このころ、びっくり箱が流行。

1891
明治24年

コナン・ドイル、ストランド誌の依頼に応えてホームズものの短編“ボヘミアの醜聞”を発表。(注11) リリエンタールのグライダー、滑空に成功する
屋井光蔵、世界最初の乾電池の試作に成功。 浪漫主義文学運動起こる。

1892
明治25年

フランクリード・シリーズの人気を背景に、フランクリード・ライブラリ誌創刊。
R・バー“ロンドン市運命の日”を発表。
レーベデフ、真空容器と鏡を使って光圧を実測。
ゼネラルエレクトリック(GE)設立。
東北線が全通する。  

1893
明治26年

コナン・ドイルは“最後の事件”を発表。(注12) スタインメッツ、交流設計理論を完成。
気球による気象観測。
二宮忠八、飛行機を試作するが、資金不足から模型を飛行させるに留まる。
御木本幸吉、真珠の養殖に成功。
 

1894
明治27年

ジョン・ジェイコブ・アスター“他の諸世界の旅”を発表。 アルゴン元素の発見。
日清戦争が勃発。
<黄海海戦>無装甲の艦隊しか持たない日本海軍と大型甲鉄艦2隻を含む清国北洋艦隊との戦い。士気と戦術に優る日本海軍が勝利するが、大型艦の撃沈はついにできず、日本海軍は高性能な甲鉄艦の必要を痛感。
樋口一葉“にごりえ”を発表。

1895
明治28年

H・G・ウェルズ、処女SF作品“タイムマシン”を発表。 レントゲン、X線を発見。
ローレンツ、高速度による短縮の理論を提出。
ヘリウムが、地球上でも発見される。
マルコーニ、アンテナを発明。
パーシヴァル・ローウェル“火星”を出版。
日本銀行が落成。 樋口一葉、没。

1896
明治29年

H・G・ウェルズ“モロー博士の島”“宇宙戦争”を発表。 アテネで、第1回近代オリンピック開催される。
ベックレル、ウラン化合物からのX線放射を発見。
豊田佐吉、豊田式自動織機を発明。
志賀潔、赤痢菌を発見。
正岡子規により“ホトトギス”が創刊される。
尾崎紅葉“金色夜叉”を発表。
このころ“ファウンテンペン”が高級文具として普及。輸入元の丸善が“万年筆”と命名。
“現代日本SFの父”海野十三生まれる。

1897
明治30年

ブラム・ストーカ“吸血鬼ドラキュラ”を発表。
H・G・ウェルズ“透明人間”を発表。
クルト・ラスヴィッツ“両惑星物語”を発表。
キューリー、ウラン原子からのX線放射を確認
ラザフォードらにより、アルファ線・ベータ線が発見される。
ブラウン、オシロスコープを発明。
ディーゼル、ディーゼル・エンジンを発明。
31年式速射砲が発明されるが、国内では製造できず、ドイツに発注される。
東京〜大阪間の遠距離電話が開通する。
日本美術院設立。
 

1898
明治31年

G・グリフィス“電気を買い占める”を発表。
G・P・サービス、ニューヨーク・イブニング・ジャーナル誌に“エジソンの火星征服”連載開始。大評判となる。(注13)
キューリー、ラジウムの抽出に成功。
世界最初の、外洋航行可能な潜水艦が建造される。
ポールセン、磁気録音方式を発明。
ニコラ・テスラ、無線操縦ボートの公開実験に成功。
中央公論社が設立される。
安田銀行設立
 

1899
明治32年

ニコラ・ステラ、宇宙からの規則的な電波を受信。(注14) 固体水素(絶対温度14K)の製造に成功。
エルスタ、ガイテルら、大気中のイオンの実在を証明。
北清事変(義和団事件)が勃発。
高峰譲吉、アドレナリンを創製。
押川春浪、デビュー作“海底軍艦”を発表。一躍大人気作家となる。
泉鏡花“高野聖”を発表。

1900
明治33年

G・グリフィス“宇宙のハネムーン”を発表。
A・ピアーズ“マクスンの人形”を発表。
プランクの量子理論が提唱される。
ローレンツ、速度増大による質量増加の実測に成功する。
ベータ粒子、ガンマ線の発見
原子崩壊現象の発見
ツェッペリン、硬式飛行船を発明。
八幡製鉄所開業。
中江兆民により日本女子大学設立。
幸徳秋水らにより社会民主党設立されるが、即日禁止処分となる。
中村春吉、自転車世界無銭旅行に出発。旅行の経過は逐一青少年向け雑誌に掲載され、好評を博す。
國木田独歩“武蔵野”を発表。
円谷英二生まれる。

1901
明治34年

H・G・ウェルズ“月世界最初の人間”を発表。(注15) ノーベル賞の授与が始まる。
キューリー、ラジウムの放射エネルギーを測定。(注16)
マルコーニ、無線を発明。イギリス〜カナダ間の通信に成功。(注17)
第一次日英同盟が締結される。
カタカナ・タイプライタが発明される。
正岡子規、没。
押川春浪“空中大飛行艇”を発表。

1902
明治35年

ジョルジュ・メリエス、最初のSF映画“月世界旅行”を公開。
“ジャングルブック”のキプリング、マルコーニの無線電信に刺激されSF作品“無線”を発表。
光電効果が発見される。
ボール、アスマン、成層圏を発見。
二葉亭四迷が自費で満州に渡り、私設の軍事スパイとして活動しようとするが、素人の悲しさ、ほとんど対露戦には貢献できず。
日比谷公園が一般に開放される。
早慶戦、始まる。

1903
明治36年

最初のワールドシリーズ“レッドソックス対パイレーツ”開催。 ツィオルコフスキィ、宇宙旅行に関する諸問題を研究。
・人工衛星、宇宙服、宇宙ステーションなどのアイデアを発表。
アメリカ航空界の権威的存在ラングレー、飛行機実験に失敗し続ける。
自転車店を営む傍ら飛行機の実験を続けるライト兄弟、フライヤー1号による初飛行に成功。
日露戦争が勃発。
日本海軍が初めて潜水艦を採用する。
自然主義文学運動起こる。
三越デパート開業。
前田光世、世界柔道武者修業に出発。(注18)

1904
明治37年

“宇宙の破壊者”ことエドモンド・ハミルトン生まれる。(注19) フレミング、最初の真空管(二極管/整流管)を発明。
奥羽本線が全通。
日本海海戦、奉天会戦を経て、日露戦争終結。
早稲田大学野球部、日露戦争中にも関わらず、最初のアメリカ遠征へ出発。
夏目漱石“吾輩は猫である”を発表。

1905
明治38年

ジュール・ベルヌ、没。
エドウィン・レスタ・アーノルド“ガリバー・ジョーンズ中尉の休暇(火星のガリバー)”を発表。
アインシュタイン、特殊相対性理論を完成。(注20)
日本海軍はドレッドノートの出現を深刻に受け止め、これに対抗できる“ド級艦”の建造を急ぐが、続けざまに失敗作を建造する。
南満州鉄道株式会社が設立される。
夏目漱石“坊ちゃん”を発表。
ハーモニカが初輸入される。
成功雑誌社、青少年向け雑誌“探検世界”を創刊。押川春浪は主力寄稿者として活躍。
羽化仙史“月世界探検”を発表。ベルヌの“月世界旅行”とは異なるオリジナル作品。

1906
明治39年

フレドリック・ブラウン生まれる。 英海軍、革新的戦艦“ドレッドノート”を完成。(注21)
アンシュッツ、ジャイロコンパスを発明。(注22)
AM変調方式が発明される。(注23)
気圧の単位として“ミリバール”が提唱される。
パーシヴァル・ローウェル“火星とその運河”を出版。(注24)
   

1907
明治40年

R・A・ハインライン生まれる。 ド・フォレスト、三極管を発明。(注25)
ベリーニ、電波到来方向探知方式を発明。
最初の化学調味料“味の素”が発明される。 “探検世界”の成功に刺激され、大手出版社博文館から青少年向け雑誌“冒険世界”が創刊される。押川春浪は主筆として活躍。
“科学世界”誌上において、我国最初の科学小説懸賞募集(SFコンテスト)が行われる。
短歌雑誌“アララギ”創刊される。
実業少年誌新年号の付録は“少年出世双六”であった。(注26)

1908
明治41年

L・M・モンゴメリ“赤毛のアン”を出版。
H・ガーンズバック、最初のアマチュア向け電気工学誌モダンエレクトリック誌を創刊。
H・G・ウェルズ“空中戦争”を発表。
中央シベリアのツングースに大隕石(彗星の核?)が落下。
ヘール、太陽黒点の磁性を発見。
高峰譲吉、タカ・ジアスターゼを発明。 最初のスポーツ愛好団体“天狗倶楽部”が結成される。
スバル創刊される。
新劇運動盛ん。自由劇場開場。
増本河南“冒険怪話 空中旅行”を発表。
香山滋、生まれる。

1909
明治42年

  ブレリオ、英仏海峡を飛行機で横断に成功。
ベークライトが発明される。
足踏み式脱穀機発明される。
徳川好敏大尉、アンリファルマン機で日本最初の動力飛行に成功。高度70m,距離3000m,飛行時間4分。
鈴木梅太郎、オリザニン(ビタミンB)製造に成功。
大滝竜太郎、船体クリヌキのプロペラボート模型を開発。
縁日で針金構造・羽二重張りの模型飛行機が売られる。

1910
明治43年

J・W・キャンベルJr.生まれる。  
奈良原三次、国産機奈良原二号で初飛行に成功。高度5m,距離60m。
大阪中之島において、日本最初の模型飛行機大会が開催される。
白瀬中尉、南緯80度5分に到達するも前進を断念・帰国。
国内で真空管の製造に成功。
東京朝日新聞、新渡戸稲造の筆により学生野球の害悪について論述した“野球撲滅論”を展開する。(注27)
本多猪四郎、生まれる。

1911
明治44年

E・R・バロウズ、ノーマン・ビーンの筆名でオール・ストーリー誌に“火星の月の下で(火星のプリンセス)”を連載開始。
H・ガーンズバック、モダンエレクトリック誌の穴埋めに“ラルフ124C41プラス/27世紀のロマンス”を掲載。(注28)
中国で辛亥革命が起きる。
アムンゼン南極点に到達。
宇宙線が発見される。
自動車のオートスタータが発明される。
カーティス、水上飛行機を発明。
ショウにより、世界最初の“天気予報”が刊行される。
大阪に通天閣(初代)建設される。(注29)
 
帝国飛行協会(後の日本飛行協会)が設立される。
山陰線が開通する。
日活が設立される。
三神五郎、アイオワ州の独立リーグ球団“オールネイションズ”に入団。(注30)
国際オリンピックに初参加。

1912
大正元年

コナン・ドイル“ロストワールド”を発表。
E・R・バローズ“類猿人ターザン”を連載開始。(注31)
スペリー、オートパイロットを発案。
ウェゲナー、大陸移動説を提唱。しかしながら、大陸移動のメカニズムを合理的に説明することができず。
  ウェルズの“タイムマシン”が、黒岩涙香により“80万年後の社会”として翻案される。
原田政右衛門、近未来架空戦記もの“日露未来戦”を発表。

1913
大正2年

コナン・ドイル“毒ガス帯”を発表。 マゼラン星雲までの距離が測定され、15万光年とされる。
ラッセル、恒星スペクトルと絶対等級の関係について研究。
ラジオによる気象放送始まる。
第一次世界大戦始まる。
青島要塞攻略戦。
帝国飛行協会、第一回民間飛行大会を開催。
初の国産主力艦艇“比叡(巡洋戦艦)”が完成。(注32)
浅草オペラ開場。
宝塚少女歌劇団、初演を飾る。
押川春浪、没。
北原鉄雄、近未来架空戦記もの“次の一戦”を発表。

1914
大正3年

E・R・バローズ“地底世界ペルシダー”を連載開始。
ポール・ラインバーガ(コードウェナ・スミス)生まれる。
第一次世界大戦始まる。
パナマ運河が開通する。
モーズリー、周期表に原子番号を導入して改良する。
シリウスの伴星が白色矮星であることが発見される。
邦文タイプライタが発明される。 女性の髪型に“パーマネント・ウェーブ”流行しはじめる。
芥川竜之介“羅生門”を発表。

1915
大正4年

スミス、同級生の妹ジャンヌ・マクドゥガルと結婚。友人の薦めで全く新しい宇宙SF小説(後の宇宙のスカイラーク)の執筆を決意。 ハーキンス、ヘリウム原子の質量が水素原子の質量4個分と等しくないこと(特殊相対論に基づく質量欠損の実例)を発見する。
アインシュタイン、一般相対性理論を完成。
横須賀海軍航空隊設立される。 夏目漱石、没。

1916
大正5年

共同執筆者が興味を失ったこともあり、宇宙のスカイラークの執筆は中断。
フランツ・カフカ“変身”を発表。
ジェットランド海戦。多数の“ド級艦”が実戦で使用される。
アインシュタイン、一般相対性理論を発表。
スーパーヘテロダイン方式の受信機が発明される。
シュヴァルツシルト、超高重力な天体の近傍では光さえも吸い込まれてしまうことを明らかにする。
中島知久平、川西清兵衛ら、飛行機研究所(後の中島飛行機)を設立。
KS磁石鋼が発明される。
「子供と科学」が創刊される。
丸善が万年筆用国産インク“アテナインキ”の製造販売を開始。

1917
大正6年

カリンティ・フリジェシ“ファレミド航海記”(ガリバー旅行記の追加エピソード、全金属製の人造人間の国が登場)を発表。
A・メリット、オールストーリーズ誌に“ドラゴンの鏡”でデビュー。
ウィルソン山天文台に100インチ望遠鏡が設置される。
ソナーが発明される。
カーチス,トーマス,マーチンの各飛行機会社が相次いで設立され、軍用機量産時代が始まる。
帝大付属航空研究所が設立される。
米騒動起きる。
星一(星製薬社長。SF作家星新一の父)、唯一のSF作品“30年後”を発表する。
 

1918
大正7年

スミス、このころ標準局を退社。F.W.ストック&サン会社に技師長として入社。ドーナッツ・ミックス・パウダーの開発に従事。 第一次世界大戦終結。
シャブリー、100インチ望遠鏡で銀河の大きさを計測する。(注33)
八八艦隊計画、議会へ提出される。戦艦八隻+巡洋戦艦八隻からなる巨大な艦隊案。 改造が創刊される。
島田清次郎、理想主義小説“地上”第一部刊行。一大ベストセラーとなる。
竹生山人“女偉丈夫 冒険飛行機美人”を発表。

1919
大正8年

スミス、ワシントン大学から文学博士号を授与される。(注34)
レイ・カミングス“黄金原子の中の乙女”でデビュー。
マレイ・ラインスター“逃げ出した摩天楼”でデビュー。
ロベルト・ウィーネ、映画“カリガリ博士”を公開。
パリ講和会議。ベルサイユ体制始まる。
ロンドン天文台のチーム、日食を利用して重力による光の湾曲を観測する。
アストン、質量分析器を発明する。
八八艦隊計画の1番艦“長門”が完成する。(注35)
国際連盟加盟、常任理事国に。
松竹キネマが設立される。
“新青年”が創刊される。
“日本及日本人”誌“百年後の日本”特集号発行される。

1920
大正9年

“宇宙のスカイラーク”完成。(注36)
98.10.6A・メリット“金属モンスター”を発表。(注37)
D・リンゼイ“アルクトゥルスへの旅”を発表。
アメリカでラジオ放送始まる。
国際連盟が成立する。
ラザフォード、最初の原子核反応を得る。
ピース、太陽系外の恒星として初めて、ペテルギウスの直径を干渉計で計測し、太陽の300倍の巨星であると分かる。
大正デモクラシー。
空母“鳳翔”進水。
ワシントン軍縮会議。(注38)
プロレタリア文学盛ん。
デビスカップ・テニスに国内から初参加。
パイロット万年筆、国産万年筆の製造を開始。

1921
大正10年

K・チャペック“ロッサム万能ロボット会社”を発表。(注39) ワシントン軍縮会議。
マグネトロンが発明される。
インシュリンが発見される。
ドイツで初のグライダー大会が開かれる。
不況が慢性化。
帝国ホテル新築落成。
アインシュタイン来日。
“科学画報”創刊される。

1922
大正11年

  アメリカ海軍最初の空母“ラングレー”が完成。
フリードマン、宇宙の膨張理論を提唱。
ハワード・カータ、ツタンカーメン王墓を発掘。
ソビエト連邦の成立。
関東大震災起きる。M8.0。死者・不明14万2千。(注40)
大本寅次郎、手回し式タイガー計算機を発明。
池波正太郎生まれる。
文芸春秋が創刊される。
東宝、設立される。
稲垣足穂、処女短編集“一千一秒物語”を発表。
E.R.バローズ“火星の女神イサス”が初訳出。“中学生”誌に連載される。

1923
大正12年

ウィアード・テールズ誌創刊。
H・P・ラブクラフト、ウィアード・テールズ誌にデビュー。
オートジャイロが発明される。
デ・フォレスト、トーキー映画の特許を取得
コンプトン、高エネルギーの波が粒子のように振る舞う事を証明。
ド・ブロイ、粒子が波動性を持つこと(物質波)を示す。
高橋克己、ビタミンAの発見。 「子供の科学」が創刊される。

1924
大正13年

F・B・ロング、ウィアード・テールズ誌にデビュー。
R・M・ファーリィ“ラジオ・マン”を連載開始。
電気蓄音機が発明される。
最初のアマチュア無線。
東京-大阪間の写真電送実験が成功する。
ラジオ放送(ラヂオJOAK)が開始される。
初めてミルクキャラメルが作られる。
鈴木梅太郎、酒の合成に成功。
東京六大学リーグ結成。
久松染夫、山本友次郎“中学世界”に“日米大未来戦“を連載。

1925
大正14年

ウィリス・オブライエン,映画“ロストワールド”を公開。(注41) RCA、写真の電送実験に成功。
重力による赤方偏移が発見される。
高校の生物学教師J・スコープス、テネシー州の公立学校で進化論を教えたかどにより有罪になる。(モンキー裁判)
エドウィン・ハッブル、アンドロメダ星雲が銀河系外の“島宇宙”であると発表。
日本放送協会が設立される。
八木秀次ら、八木アンテナを発明。
・実用化はアメリカで進められ、二次大戦の各種電波兵器に利用される。
自動式電話の設営始まる。
海野十三、逓信省電気試験所に勤務。無線通信やテレビジョンの研究に従事。

1926
大正15年
昭和元年

ガーンズバック、最初のSF専門誌アメージング・ストーリーズ誌を創刊。
コミック“フラッシュゴードン”の連載が開始される。
ジェームズ・チャーチワード“失われたムー大陸”を発表。
H・P・ラヴクラフト“クトゥルフの呼び声”を発表。
フリッツ・ラング、最初の本格SF映画“メトロポリス”を公開。
E・ハミルトン、ウィアード・テールズ誌に“マムルスの邪神”でデビュー。
モーガン、染色体中に遺伝子が存在するとの学説を発表。
シュレディンガー、波動力学の数学的基礎を確立。
J・ベアード、機械走査式テレビジョンの公開実験に成功。
ゴダード、最初の液体燃料ロケットの打ち上げに成功。到達高度は60m。
東京に最初の地下鉄が作られる。 “科学画報”誌にて科学小説コンテストが開かれる。
宮沢賢治“銀河鉄道の夜”。
小酒井不木、我国最初の本格SF小説“恋愛曲線”“人工心臓”を発表。
西村真琴、科学エッセイ“水の湧くまで”を出版。
今村科学研究所、セメダインAを発売開始。

1927
昭和2年

トーキー映画始まる。最初の作品は“ジャズシンガー”。
コナン・ドイル“マラコット深海”を発表。
イドラック、ビューロら、ラジオゾンデによる実験開始。
A型フォード発売開始。
リンドバーグ、大西洋無着陸横断に成功。
ハイゼンベルグ、不確定性理論を提唱。
銀河系の自転が発見される。
マーラーにより、X線による突然変異が発見される。
高柳健次郎、世界最初の電子式テレビジョンの実験に成功。
空母“赤城”完成。儀装だけでも2年あまりを費やし、3段重ねの飛行甲板や巡洋艦なみの主砲などの欲張った設計であったが、結局どっち付かずの大失敗に終わる。後に“赤城”は大改装を受け、真に近代的な空母に生まれ変わることになる。
人見絹枝、走り幅跳びで世界新記録(5.58m)。
西村真琴、大阪毎日新聞の依頼に応えて人造人間“学天則”を作成し、京都・大礼記念博覧会に出品。

1928
昭和3年

アメージング・ストーリーズ誌に“宇宙のスカイラーク”連載開始。第1回から爆発的な人気を呼ぶ。(注42)
同誌同号にバックロジャースもの第一作“決戦2419年”連載開始。
E・ハミルトン、ウェアード・テールズ誌に“星間パトロール”シリーズ掲載開始。
ジャック・ウイリアムスン“メタル・マン”でデビュー。
ポール・ラインバーガ(後のコードウェイナ・スミス)、ひっそりとデビュー。(注43)
“スーパーマン”の連載始まる。
パリ不戦条約締結。
ガイガーカウンタが発明される。
エンパイヤ・ステート・ビルディング建設着手さる。
ペニシリンが偶然発見される。
ガモフ、アルファ崩壊理論を提出。
ノイマン、ゲームの理論を提唱。
 
東京〜福岡間に旅客便就航。
清水トンネルが開通。
島崎藤村“夜明け前”を発表。
小林多喜二“蟹工船”を発表。
海野十三、新青年誌に“電気風呂の怪死事件”を発表。

1929
昭和4年

ガーンズバック、会社乗っ取りにあいアメージング誌を手放す。以後の編集は元部下のT・オコナー・スローン(エジソンの娘婿)によって続けられる。
フリッツ・ラング、映画“月世界の女”を公開。
粒子加速器(サイクロトロン)が発明される。
フレミング、多分に偶然からペニシリンを発明する。
エドウィン・ハッブル、銀河の距離と速度を計測し、宇宙の膨張を発見。
スコベルチン、宇宙線シャワーを発見。
硬式飛行船ツェッペリン号、世界一周に出発。
ニューヨーク株式市場大暴落。世界恐慌の始まり。
東京〜神戸間につばめ号運転開始。平均時速67km/h。
名古屋電気局、湯浅電池など、電気バスを計画するも、実用には至らず。
平田晋作、軍事評論家として登場。“米国は日本に挑戦するか”,“軍縮の不安と太平洋戦争”を発表。

1930
昭和5年

スミス“スカイラーク3号”をアメージング誌に連載。
J・W・キャンベルJr、アメージング誌に“原子が崩壊する時”でデビュー。
続いてアーコット・モーリー&ウエード・シリーズ開始。
アスタウンディング・ストーリーズ・オブ・スーパーサイエンス誌が創刊される。
クライド・トンボウ、冥王星を発見。。
原子核破壊用に、粒子加速器(サイクロトロン)が発明される。実際の完成は1932。
ドライアイスが発明され、実用的な冷凍食品が作られる。
ロンドン軍縮会議。
星間物質の発見。
満州事変(柳条溝事件)起きる。
東大航空研が設立される。
大阪帝大が設立される。
国産トーキー映画第一号、松竹の“マダムと女房”公開。
海野十三“振動魔”を発表。
山中峯太郎、少年倶楽部誌に“亜細亜の曙”を発表。

1931
昭和6年

スミス“火星航路SOS/惑星連合の戦士”をアメージング誌に連載。(注44)
スミス“ヴァレロンのスカイラーク”をアスタウンディング誌に連載。(注45)

レイ・カミングス“月面の盗賊”を発表。
ニール・R・ジョーンズ、ジェイムスイン教授シリーズを開始。
宇宙電波の発見。
カロザースら、合成ゴムの製造に成功。
フェルミ、ニュートリノについて論理的に予言。
5.15事件
日本ファシズム連盟結成さる。
MK磁石鋼が発明される。
ロス・オリンピックの水泳5種目で優勝。
平田晋作、少年倶楽部誌に“日米若し戦わば”を発表。(注46)

1932
昭和7年

オルダス・ハックスリ“すばらしい新世界”を発表。
ワイリー&バーマー“地球最後の日”(後にジョージ・パルにより映画化)
チャドウィク、中性子を発見。
アンダーソン、陽電子を発見。
ユーリー、重水素分離に成功。
サイクロトロンを使った原子核の人工転換が成功する。
電子顕微鏡が発明される。
国際連盟を脱退。
徳永重康、中国・熱河地方を調査行。
海野十三“盗まれた脳髄”を発表。
蘭郁二郎、日本電気に入社

1933
昭和8年

“キング・コング”が公開され、世界中で大ヒット。(注47)
ジャック・ウイリアムスン“宇宙軍団”を発表。
最も有名なネッシー写真“外科医の写真”が発表される。
フェルミ、ベータ崩壊理論を提出。
マイスナー、オクセンフェルトら、超伝導体の完全反磁性を発見。
ビタミンCの合成が成功する。
日本の水産調査船が、太平洋一斉海洋調査を実施。 蘭郁二郎、肺浸潤の宣告を受け、日本電気を退社。(注48)
平田晋作、少年倶楽部誌に“昭和遊撃隊”を連載。

1934
昭和9年

スミス“三惑星連合軍”を発表。(注49)
キャサリン・L・ムーア“シャンブロウ”を発表。
超新星の発見。
ジュリオ、キュリーら、人工放射能の発生に成功。
チェレンコフ効果の発見。
湯川秀樹、中間子理論を提出。
美濃部達吉、天皇機関説を提唱。
平田晋作、少年倶楽部誌に“新戦艦高千穂”を連載。
中岡健一、最初のエンジン付き模型飛行機の飛行に成功。

1935
昭和10年

オラフ・ステープルトン“オッド・ジョン”を発表。 ワトソン・ワット、レーダーを発明。
中谷宇吉郎、人工雪の研究。
日本飛行機、フランスから豆飛行機プードシェルを輸入販売。(国内生産型は“雲雀I型”と呼ばれる)
平田晋作、没。
海野十三“海底大陸”を発表。

1936
昭和11年

スミス、ミシガン州のダウン・ドーナッツ社へ移籍。(注50)
E・ハミルトン“フェッセンデンの宇宙”を発表。
K・チャペック“山椒魚戦争”を発表。
 
海軍が十二試艦上戦闘機(後の零戦)の試作を三菱へ指示。
日中戦争、起こる。
日独伊三国協定。
朝日新聞の記念事業として“神風号”がロンドンに到着。
中間子の質量計測の試み。
文化勲章の制度制定される。

1937
昭和12年

スミス“銀河パトロール隊”をアスタウンディング誌に連載開始。
H・P・ラブクラフト没。
セシル・スコット・フォレスター、ホンブロワー・シリーズ第一作“パナマの死闘”を発表。
ワイデッガ、ベーテら、原子核反応で太陽熱源を説明。
アンダーソンら、宇宙線中の中間子を発見。
最初のパラボラ形電波望遠鏡が作られる。
ドブジャンスキー、進化と突然変異とを結び付ける学説を発表。
ガソリン・綿糸が配給制になる。 東京毎日新聞がプラネタリウムを設営。
ローマ字綴りが制定される。
海野十三“浮かぶ飛行島”を発表。
蘭郁二郎、小学六年生誌に“地底大陸”を連載。
蘭郁二郎、科学ペン誌に“人造恋愛(脳波操縦士)”を発表。

1938
昭和13年

マーヴェル・サイエンス・フィクション誌が創刊される。
ドン・スチュアート(J・W・キャンベル)“影が行く”を発表。(注51)
CBS放送、オーソン・ウェルズの制作により、ノンフィクション仕立てのラジオドラマ“宇宙戦争”を放送。(注52)
ハーン、シュトラスマン、ウランの核分裂を発見。
化学殺虫剤DDTが発明される。
最初の合成繊維ナイロンが発明される。
ボールペンが発明される。
生きているシーラカンスが南アフリカ沖で捕獲される。
ズヴォーリキン、実用的なテレビカメラ(撮像管)を発明する。
ノモンハン事件
木炭が配給制になる。
三菱、十二試艦上戦闘機1号機を完成。零式艦上戦闘機として正式採用される。
横綱双葉山、69連勝を達成。
海野十三“火星兵団”を発表。

1939
昭和14年

スミス“グレーレンズマン”をアスタウンディング誌に連載開始。
R・A・ハインライン、処女作“生命線”を発表。
アイザック・アシモフ、処女作“カリストの脅威”を発表。
ジャック・ウイリアムスン“航時軍団”を発表。
A・E・ヴァン・ヴォクト“黒い破壊者”で衝撃のデビュー。(注53)
プラネット・ストーリーズ誌が創刊される。
映画“オズの魔法使い”公開。
第1回ワールド・コン(ナイコン)がニューヨークで開催される。
アームストロング、FM偏重方式を発明。
シコルスキー、最初の実用的なヘリコプタを発明。
ペニシリンが発明される。
ジラート、核連鎖反応のアイデアを提出。
オッペンハイマー、中性子星の性質について解析。(実際に観測されるのは30年後)
日独伊三国軍事協定、締結される。 大下宇陀児“宇宙線の情熱”を発表。
国民学校で模型飛行機の工作が正課となる。

1940
昭和15年

アイザック・アシモフ、ロボット三原則もの第1作“奇妙な遊び友達(ロビー)”。を発表。
季刊キャプテン・フューチャー誌が創刊される。
A・E・ヴァン・ヴォークト“スラン”を発表。
マクミラン、アベルソンら、超ウラン元素の創製に成功。
日本軍による真珠湾奇襲作戦。
太平洋戦争勃発。
大下宇陀児“地球の屋根”を発表。
海野十三“金博士シリーズ”を開始。

1941
昭和16年

スミス“渦動破壊者”をコメット誌に“第二段階レンズマン”をアスタウンディング誌に連載開始。
アイザック・アシモフ“夜来る”を発表。
R・A・ハインライン“帝国の論理”“大宇宙”“時の門”などを発表。(注54)
引退直前のバローズ、開戦のニュースを聞くや従軍を志願。
カースト、ベータトロンを製作する。
  大下宇陀児“百年病奇譚”を発表。

1942
昭和17年

  ヘイ、サウスフォースら、太陽電波を発見。
フェルミら、核分裂連鎖反応の持続について研究。
   

1943
昭和18年

   
  蘭郁二郎、没。

1944
昭和19年

用紙事情の悪化により、キャプテン・フューチャー誌休刊。
同様の理由により、この時期多くのパルプSF雑誌が姿を消す。
オラフ・ステープルトン“シリウス”を発表。
 
広島・長崎に原子爆弾が投下される。
太平洋戦争終結。
 

1945
昭和20年

アメージング誌に悪名高き“シェーヴァー・ミステリー”が連載される。(注55)
フロリダ・フォートローダデール海軍基地を飛び立った5機のアベンジャー機が、訓練飛行中に謎の消失。
マクミラン、ベクスラ、シンクロトロンを製作。
  日本科学哲学会・科学小説創作会、宇宙と哲学誌を創刊。(注56)
手塚治虫、毎日少国民新聞に“マアちゃんの日記帳”でデビュー。

1946
昭和21年

レイ・ブラッドベリ“火星年代記”を発表。 ラングミュア、人工降雨の実験開始。
リビー、14Cによる年代測定法を考案。
元・立川飛行機の技師らを中心に、東京電気自動車(プリンス自工の前身)が設立される。 手塚治虫“新宝島”を発表。
香山滋、宝石誌の第一回懸賞に“オレン・ペンデクの復讐”でデビュー。
大島三吉“猿飛佐助月世界へ”を発表。
円谷英二、円谷特殊技術研究所を設立。
このころ鉱石ラヂオに少年の関心が高まる。

1947
昭和22年

スミス、レンズマン・シリーズ完結編“レンズの子ら”をアスタウンディング誌に発表。
E・ハミルトン“スターキング(天界の王)”を発表。
R・A・ハインライン“地球の緑の丘”“宇宙船ガリレオ号”を発表。
ケネス・アーノルド、自家用機で飛行中に正体不明の飛行物体を目撃。(注57)
シカゴ大学、ジェットストリームを確認。
チャック・イエーガ、ベルX-1号機で誌上初めて有人機による超音速飛行に成功。
朝永振一郎、くりこみ理論を提出。
このころ、ガソリン不足からちょっとした電気自動車ブームが起きる。
霜野二一彦、怪人魔シリーズ“野獣の城”を発表。

1948
昭和23年

セシル・スコット・フォレスター、ホーンブロワー最初の冒険“海軍士官候補生”を発表。 シュウィンガー、くりこみ理論を提出。
メイヤー、核の殻構造論(マジックナンバー理論)を提出。
ゲイバー、ホログラフィの理論を提出。
ショックレーら、トランジスタを発明。
トッド、ATPの合成に成功。
プロ野球、2リーグ制に。 海野十三、没。
大映“花くらべ狸御殿”を公開。
大下宇陀児“空中国の大犯罪”を発表。

1949
昭和24年

“King of the Rocket-Man”公開。(ロケットマンの連続活劇,日本未公開)
フレドリック・ブラウン“発狂した宇宙”を発表。
 
このころ、オート三輪が全盛期。
金閣寺が焼失。
いわゆる“朝鮮特需”が起き、不況に喘いでいた国内産業は息を吹き返す。
 

1950
昭和25年

ファンタジー・プレス社から、レンズマン・シリーズ全巻が出版される。(注58)
R・A・ハインライン“月を売った男”を発表。
ジョージ・パル、ハインライン原作・脚本の“月世界征服”を公開。
ジョン・ウインダム“トリフィドの日”を発表。
 
  手塚治虫、少年誌に“アトム大使(鉄腕アトム)”連載開始。

1951
昭和26年

ハリイ・ベイツ原作による映画“地球の静止する日”公開。
アイザック・アシモフ、ファウンデーション(銀河帝国の興亡)・シリーズを開始。
R・A・ハインライン“人形つかい”を発表。
スタニスワフ・レム“金星応答なし”を発表。
ジョージ・パル“地球最後の日”を公開。
ハワード・ホークス“遊星よりの物体X”を公開。
ウッドワード、ロビンソン、コレステロールの合成に成功。
日本オートサンダル、軽4輪車オートサンダル号を発売。  

1952
昭和27年

E・ハミルトン“時果つるところ”を発表。
ポール&コーンブルース“宇宙商人”を発表。
クリフォード・シマック“都市”。
精神安定剤が発明される。
アメリカが核融合爆弾(水爆)の開発に成功。
シュミットら、光化学スモッグの発生メカニズムについて研究。
初代トヨペット・クラウンが発売される。
NHK、テレビ放送を開始。
日本ジェットエンジン株式会社が設立される。
矢野徹、フォレスト・J・アッカーマンに招かれ日本人として初めてワールドコンに参加。
手塚治虫、トキワ荘に仕事場を借りる。
光成社、ピストル形映写機“シネコルト”を発売。

1953
昭和28年

アーサー・C・クラーク“地球幼年期の終わり”を発表。
シオドア・スタージョン“人間以上”を発表。
アイザック・アシモフ“鋼鉄都市”を発表。
アルフレッド・ベスター“破壊された男”を発表。
ウイルマー・H・シラス“アトムの子ら”を発表。
“原子怪獣あらわる”公開。
ジョージ・パル、生涯の傑作として誉れ高い“宇宙戦争”を公開。
G・アダムスキー“空飛ぶ円盤搭乗記”発表。(注59)
ヒラリー、エベレスト登頂に成功。
グレイサー、泡箱を発明。
クリック、ワトソンら、DNAの構造を決定する。
ユーイングら、プレートテクトニクス理論を提唱。ウェゲナーの大陸移動説にやっと理論的裏付けが与えられる
住江製作所(日産の下請け会社)、2人乗り軽自動車フライングフェザーを発売。 東宝、水爆大怪獣映画“ゴジラ”を公開。空前の大ヒット。海外にも輸出される。
森の道社、国内最初のSF専門誌“星雲”を創刊。今日の目で見ても非常に良い内容であったにも関わらず、天の時を得ず1号で休刊となる。
東京科学工業(現・マブチモータ)設立。

1954
昭和29年

ハル・クレメント“重力の使命”。
R・A・ハインライン“宇宙怪獣ラモックス”を発表。
トム・ゴドウィン“冷たい方程式”を発表。
ウイルスン・タッカー“超能力エージェント”を発表。
“放射能X”が公開される。(注60)
アメリカがビキニ環礁で水爆実験に成功。 
タウンズら、メーザーを発明。
バチスカーフ号が海底4050mに到達。
コンタクトレンズ発明される。
経口避妊薬が発明される。
太陽電池が発明される。
制御可能な原子炉が作られ、 最初の原子力潜水艦ノーチラス号が就役。
東大生産技術研究所、富士精密、ペンシルロケットの発射に成功。 室町書房、SF小説のシリーズ出版開始するも2冊で中止。
・SFとウエスタンに手を出すと必ず失敗すると言われたのはこのころ。
東宝“ゴジラ”の続編“ゴジラの逆襲”を公開。(注61)
増田屋斎藤貿易がラジオコントロールのバスを発売。ラジコンを登録商標に。

1955
昭和30年

R・A・ハインライン“ダブルスター(旧・太陽系帝国の危機)”を発表。
ポール・アンダースン“タイムパトロール”シリーズ開始。
ジャック・フィニィ“盗まれた街”を発表。
傑作スペオペ映画“宇宙水爆戦”公開。
怪獣ウラン,怪獣ゴルゴ,原子人間などが製作される。
ホール、人造ダイヤの製法を発明。
反陽子が実際に検出される。
木星が電波を放射していることが発見される。
冥王星の自転が観測される。
日本隊がマナスル登頂に成功。
江崎玲於奈、トンネル効果ダイオード(エサキ・ダイオード)を発明。
日本宇宙旅行協会が発足。(注62)
プリンス自工、初代プリンス・スカイラインを発売。
元々社、最新科学小説全集を配本開始。20冊で中断。
ハヤカワ・ファンタジー(後のハヤカワSFシリーズ)刊行開始。
東宝、国内最初のカラー特撮映画“空の大怪獣ラドン”を公開。(注63)
新東宝“空飛ぶ円盤恐怖の襲撃”を公開。
大映“宇宙人東京に現わる”を公開。(注64)

1956
昭和31年

アルフレッド・ベスター“虎よ、虎よ!”を発表。
ジェイムス・ブリッシュ“宇宙零年”を発表。
傑作SF映画“禁断の惑星”が公開される。(注65)
反中性子が発見される。
理論上の存在であったニュートリノが、実際に検出される。
  “宇宙塵”が創刊される。主宰は柴野拓美。
東宝“地球防衛軍”を公開。
日活“フランキーの宇宙人”を公開。
新東宝“スーパージャイアンツ・鋼鉄の巨人”を公開。(注66)

1957
昭和32年

“フランケンシュタインの逆襲”公開。
R・A・ハインライン“夏への扉”“銀河市民”を発表。
P・H・ファーマ“緑の星のオデッセイ”を発表。
ネヴィル・シュート“渚にて”を発表。
ソビエト連邦(現ロシア)、最初の人工衛星“スプートニク1号”の打ち上げに成功。
インターフェロン発見される。
日清食品、チキンラーメンを発売。
新特急こだま号が営業運転を開始。
一万円札が発行される。
東宝“美女と液体人間”“大怪獣バラン”を公開。
東映、日本最初の長編アニメーション“白蛇伝”を公開。
マルサン商店、国産最初のプラスチックモデル“ノーチラス号”などを発売。

1958
昭和33年

SFホラー映画“蝿人間の恐怖”が公開される。(注67)
R・A・ハインライン“メトセラの子ら”を発表。
普通紙コピー機(ゼロックス)が発明される。
本田技研、マン島TTレースに初参加。
富士重工、スバル360を発売。
黒部トンネル貫通。
皇太子の結婚パレードを観るためにテレビが普及。
東宝“日本誕生”“宇宙大戦争”を公開。
東映“遊星王子”を公開。
早川書房、SFマガジンを創刊。初代編集長は福島正美。
日本模型、自動浮沈式の“伊号潜水艦”を発売。

1959
昭和34年

ジョージ・パル“タイムマシン”を公開。SF映画史上もっとも美しいタイムマシン(ヴィクトリア様式デザイン!)が登場。 ソビエト連邦の探査機が、月面裏の撮影に成功する。(注68)
ルナ2号・3号により太陽風が観測される。
このころレジャーブーム。
カラーテレビ放送が始まる。
“NULL”創刊。主宰は筒井康隆。
星新一“人造美人”他で直木賞候補に
東宝“電送人間”“ガス人間第一号”を公開。

1960
昭和35年

ジョン・ウインダム“光る目(呪われた村)”を発表。
E・ハミルトン“虚空の遺産”を発表。
P・H・ファーマ“恋人たち”を発表。
葉緑素の合成に成功。
集積回路(IC)が発明される。
レーザーが発明される。
最初の気象衛星タイロス1号打ち上げ成功。
ソ連の核実験による放射能雨で、内閣に放射能対策本部設置
トヨタ、パブリカを発売。(注69)
本田技研、マン島TTレースにおいて、上位を独占する圧倒的強さで初優勝。
SFマガジン、第1回空想科学小説コンテスト(注70)
横山光輝の「伊賀の影丸」大人気、忍者ものブームに。
東宝“モスラ”“世界大戦争”を公開。
東映“宇宙快速船”を公開。
大映“釈迦”“花くらべ狸道中”を公開。
手塚動画プロダクション(後の虫プロ)設立。

1961
昭和36年

R・A・ハインライン“異星の客”“宇宙の戦士”を発表。
スタニワム・レム“ソラリスの陽の下に”を発表。
ブライアン・W・オールディス“地球の長い午後”を発表。
東独、一夜にしてベルリンの壁を構築
電子時計が一般に販売されるようになる。
ゲルマン、クォーク理論を提出。
ガガーリン、ボストーク1号で最初の有人地球軌道周回に成功。
本田技研、国内最初の本格的自動車競技場・鈴鹿サーキットをオープン。
戦後初の国産旅客機YS-11完成。
日本初の電子計算機ショーが東京・晴海で開催される。
科研“マルチ電子実験キット”を発売。
第一回日本SF大会開催される。 開催地の東京・目黒にちなんで愛称は“MEGCON”
SFM同好会創立(会誌「宇宙気流」を発行)
SFマガジン第2回SFコンテスト(注71)
東宝“妖星ゴラス”“キングコング対ゴジラ”を公開。

1962
昭和37年

レイ・ブラッドベリ“何かが道をやってくる”“ウは宇宙船のウ”を発表。
ケイ・シセリス“魚が出てきた日”を発表。
発光ダイオードが発明される。
絶対温度1/1000000が達成される。
マイクロ波反射を利用して金星の自転周期が計測される。
フレンドシップ7号により、アメリカも友人地球軌道周回に成功。
本田技研、F-1レースに初参戦。
第一回日本グランプリ。
日米間のテレビ衛星中継実験が実施される。最初に送られてきたのは、ケネディ大統領暗殺の報。
第2回日本SF大会“TOKON”が開催される。
日本SF作家クラブ結成。
小松左京「地には平和を」が直木賞候補に
円谷プロダクション設立。(注72)
東宝“マタンゴ”“海底軍艦”を公開。
日本最初のテレビアニメーション“鉄腕アトム”放映開始。
続いて“エイトマン”“鉄人28号”などが続々と放映開始。

1963
昭和38年

第21回ワールド・コン(ワシントンDC)にて、スミスの長年の業績を称えて“ホール・オブ・フェイム賞”が授与される。授与式の席上、次回作について予告。
映画“人類SOS(トリフィドの日)”公開される。
クリフォード・シマック“中継ステーション”を発表。
テレシコワ、ボストーク6号で女性として初めて、友人地球軌道周回に成功。
プエルトリコのアレシボに、直径300mの電波望遠鏡が建設される。
X線星が発見される。
クェーサー(準星)が発見される。
東京オリンピック開催。
東海道新幹線が開業。
第二回日本グランプリで、プリンス・スカイライン2000GTがデビュー。
本田技研、ホンダスポーツS500を発売。(注73)
学研“マイキット”電子ブロック機器製造“電子ブロック”など少年向け電子実験セットが発売される。
SFマガジン第3回SFコンテスト(注74)
第3回日本SF大会“DAICON”(大阪)開催
東宝“モスラ対ゴジラ”“宇宙大怪獣ドゴラ”“三大怪獣地球最大の決戦”を公開。
“ガロ”創刊。

1964
昭和39年

「ニューワールズ」誌創刊、編集長はM・ムアコック。
ニューウェーヴ運動活発化
スタンリー・キューブリック、近未来戦争映画“博士の異常な愛情”を公開。
フリッツ・ライバー“放浪惑星”を発表。
“月世界探検”公開。(月世界最初の人間の映画化,特撮はハリーハウゼン)
ペンジアス、ウィルスン、宇宙全方位からのマイクロ波背景輻射(3K黒体輻射)を発見。
第三世代コンピュータ(IC使用のIBM360機)が開発される。
東海原発一号炉、日本初の商業用として運転開始
プリンス自工、日本初の本格的プロトタイプ・スポーツカーR380を発表。
本田技研、F-1メキシコグランプリで初優勝。
早川書房、日本SFシリーズを配本開始。
第4回日本SF大会“TOKON2”開催される。
日本SFファングループ連合会議結成。(注75)
江戸川乱歩、没。
東宝“怪獣大戦争”“フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン”を公開。
大映“世紀の大怪獣ガメラ”を公開。(注76)

1965
昭和40年

R・A・ハインライン“月は無慈悲な夜の女王”を発表。
フランク・ハーバート“デューン・砂の惑星”を発表。
スタンリー・キューブリック、A・C・クラークの協力を得て画期的な宇宙SF映画の製作を開始。(注77)
スミス、第21回ワールド・コンでの予告通り“スカイラーク・デュケーヌ”を完成。完成直後に没。
ヴェトナム北爆開始
アレクセイ・レオノフ、最初の宇宙遊泳に成功。
ジェミニ6号・7号、宇宙空間でのランデヴーに成功。
マリナー4号、火星表面の撮影に成功。
水星が、非常にゆっくりとだが自転していることが発見される。
ホログラフ写真が実際に作られる。

注1:ダーウィン“種の起源”を出版。[戻る]
聖書の創造説を否定する内容であるため、当然キリスト教会と激しく対立。キリスト教会側の主張では、この世界が作られてからいいとこ2〜3000年程度という認識だった。

注2:南北戦争が始まる。[戻る]
戦争に人手を取られたため、農村でトラクターなどの農業機械が普及する契機となる。

注3:甲鉄軍艦が南北戦争に登場。[戻る]
木製の船体に鋼板を張った甲鉄艦同士の海戦“メリマック対モニター”は、引き分け(どちらも撃沈できず)に終わる。これについては“宮崎駿著,雑想ノート”が楽しい。ただし“この本には資料的価値は一切ありません”と断ってある位なので、鵜呑みにしてはアカンのであろう。

注4:最初の商用プラスチック、セルロイドが発明される。[戻る]
スリーエムだかどこかが懸賞で募集したのではなかったかな?。用途は象牙の代替材で、当時全盛を極めていたビリヤードの球用であった。

注5:ブラウン、整流作用を発見。[戻る]
しかしながらこれが何の役に立つのか思い付かず、惜しくもダイオードの発明には至らず。

注6:スキャパレリ、火星表面に黒い線状の模様を観測。[戻る]
これが英語に翻訳される際、キャナル(運河)と誤訳されてしまい、後の“火星人の運河”伝説の基となったのはご存知の通り。これこそは、科学者がSFにもたらした最大の恩恵の一つであろう。

注7:ホール、火星の二つの衛星を発見。[戻る]
戦いの神マーズの二人の息子にちなんで“フォボス”,“ダイモス”と命名。

注8:パーシィ・グレッグ“黄道帯を越えて”を発表。[戻る]
宇宙船による惑星間飛行を扱った最初の小説であるらしい。

注9: シャーロック・ホームズ第一作“緋色の研究”(長編)を発表する。[戻る]
コナン・ドイルは医院を開業するも患者はさっぱり来ず、暇をもてあましたドイルは。長年の文学志向もあって執筆活動を始める。作者の期待とは裏腹にほとんど反響は無く、ドイルはホームズというキャラクタを一旦お払い箱に。

注10: マイケルソン・モーリーの実験。[戻る]
もしも地球とエーテルとの間に相対速度があれば(エーテルの風が吹いていれば)、光はエーテル中を伝わるとされているのであるから、光の到来方向により速度は異なるはずである…という仮定に基づいて、この速度差を測定しようとする試み。ところが何回測ってもどちらの方向からの光速度は一定であり、結局エーテルの存在は実験的に否定された…筈だった。
しかしながらこの実験だけでは、世間でポピュラーなエーテル学説をくつがえすには至らず、謎解きはアインシュタインの理論まで待たねばならなかった。それどころか今でも、昔ながらの“古典的”エーテル理論は正しいと主張する人は後を絶たない…。

注11: コナン・ドイル、ストランド誌にホームズものの短編“ボヘミアの醜聞”を発表。[戻る]
今度は大評判になり、ホームズものはストランド誌の名物連載に。ドイルは積年の文学的野心を成就させるが…。ストランド誌の競争誌などに無数の“名探偵”が登場。

注12:コナン・ドイル“最後の事件”を発表。[戻る]
いいかげんホームズものに飽き飽きしていたドイル(自らは歴史小説家として認められたかったようだが、現在の評価はご存知の通りである。)は、これできれいさっぱりとホームズものを終わらせたつもりだった。しかし、予想を越えた世間の反響(道を歩けば人殺し呼ばわりされるわ、生卵をぶつけられるわ)に負け、数年の後再開するはめになる…

注13:G・P・サービス“エジソンの火星征服”を発表。[戻る]
この当時、エジソンその人はもちろん健在である。権利関係のやかましい昨今とは異なり、誠におおらかな時代だったと言わざるをえない。案外、エジソン本人は“自分の火星征服”を楽しんでいたのかも?

注14:ニコラ・ステラ、宇宙からの規則的な電波を受信。[戻る]
後に地球外からの通信と発表し大反響となる(最初の電波天体の観測記録と思われる)。しかしながら(当然と言うべきか)世間には受け入れられず、本人の志とは裏腹に、マッドサイエンティストとしての名が高まる結果となる。

注15:H・G・ウェルズ“月世界最初の人間”を発表。[戻る]
月へ向かう宇宙船の動力として“ケイヴァーライト”なる架空の重力遮断物質を持ち出したため、科学小説の第一人者を自負するベルヌから“実現不可能なアイデアで、全く科学的でない”として批判される。対してウェルズは“科学的正確さは程々でよい。それよりも、小説である以上思想的な深みが大事。”と反論。要するに“あんたのは新規性だけで中身がないぞ”と言って返した訳で、これではケンカにならんほうが不思議(もちろんベルヌは怒った)である。
当時の物理学に照らしてさえ、ベルヌ自身の作品も自分で思っているほど科学的に正確でもないし、また彼の小説の価値もそこが第一と言うわけでもない…というのが、今日から見てこの論争の面白いところである。言うまでもなく、現代SFはウエルズの主張を裏書きするするように発達を遂げた。少なくともまともなやつは。

注16:キューリー、ラジウムの放射エネルギーを測定。[戻る]
原子に膨大なエネルギーが秘められていることが広く認識されるきっかけとなる。

注17:マルコーニ、無線を発明。イギリス〜カナダ間の通信に成功。[戻る]
無線実用化に必要な技術はN・ステラにより既に発明されており、正確にはマルコーニはステラ特許を利用した“無線電信機の開発者”。

注18:前田光世、世界柔道武者修業に出発。[戻る]
武者修業中の通称はコンデ・コマ。後にブラジルに落ち着き、グレーシー柔術の祖となる。

注19:“宇宙の破壊者”ことエドモンド・ハミルトン生まれる。[戻る]
デビュー当時は“天才科学者が地球を救う”話ばかり書いていたので“世界の救世者”と呼ばれていたらしい。

注20:アインシュタイン、特殊相対性理論を完成。[戻る]
いかなる物体も光速は超えられず、また物質は“E=mc2”の式が示す莫大なエネルギーと等価であること等が示される。デタラメな安っぽい宇宙SFは書きにくい時代になったかに思われたが、パルプ作家たちは、相変わらずの調子で大量の宇宙活劇を書き続けた。

注21:英海軍、戦艦ドレッドノートを建造。[戻る]
「これ以前の戦艦は一夜にして時代遅れになった。」と言われ、各国海軍に衝撃が走る。それまでの戦艦とは異なり船体の中心線上に主砲塔を配置し、ほとんど全ての方向に全砲門を指向できる構造で、旧型戦艦に比べて2倍程度の火力を持つ。言うまでもなく、これ以後の戦艦は全てがドレッドノートタイプの砲塔配置となった。

注22:アンシュッツ、ジャイロコンパスを発明。[戻る]
最初の搭載艦は、英海軍の“ドレッドノート”であった。

注23:AM(振幅)変調方式が発明される。[戻る]
これ以後、音声などの信号を高品位に電流(電波)に乗せる事が“理論的には”可能になる。この発明が実用化されるには、翌年の三極管(真空管)の発明を待たねばならなかった。

注24:パーシヴァル・ローウェル“火星とその運河”を出版。[戻る]
いわゆる“スキャパレリの運河説”(スキャパレリ本人は、実際に運河説を唱えたことはことは無いが)に影響を受けた内容であったらしい。この本の出版が、世間に“火星人の運河”説を広める上で決定的な後押しとなった…らしい。

注25:ド・フォレスト、三極管を発明。[戻る]
これ以後、電気的に信号を増幅することが可能になる。

注26:“少年出世双六”[戻る]
奉公を振り出しに、辛抱・正直と進んで行き、独立開業で上がりである。買い食い・なまけで振り出しに戻されてしまったらしい。実社会より厳しいのお。

注27:東京朝日新聞“野球撲滅論”を展開。[戻る]
押川春浪は反発し、野球擁護論を展開。両者は激しく対立する。論争は春浪側の勝利に終わるが、これが契機となって春浪は博文館を退社“武侠世界”を創刊する。

注28:H・ガーンズバック“ラルフ124C41プラス”を発表。[戻る]
当初は計画的なプロットも何も立てず、ほとんど殴り書きのようにして連載を始めたらしいが、その乱暴な成り立ちにも関わらず(意外にも!)読者には好評であった。これが、後にガーンズバックをしてアメージングストーリー誌を創刊させるきっかけになるのであるから、全く分からないものである。
そういえば、ハミルトン夫人のリイ・ブラケットも最初のうちはプロットも何にも無しにいきなり書き始め、息詰まっちゃったわ困った困った、といってはハミルトンをあきれさせていたそうな。

注29:通天閣が完成。[戻る]
パリ凱旋門の下半分にエッフェル塔の上3分の1を載せたような、誠に珍妙な代物だった。さらに通天閣下の門をくぐると、内部は一大遊園地“新世界”になっており、我国におけるテーマパーク事業の草分けと言える。現在の通天閣は昭和31年に再建されたもの。

注30:三神五郎、アイオワ州の独立リーグ球団“オールネイションズ”に入団。[戻る]
アメリカにおける最初の日本人選手として活躍。ただし、呼び名は“ジャップ・ミカド”であった。

注31:E・R・バローズ“類猿人ターザン”を連載開始.。[戻る]
これはバローズの諸シリーズ中最大のヒットとなる。後に映画化されて世界中で広く知られるようになり、バローズは世界的人気作家となる。

注32:“比叡(巡洋戦艦)”が完成。[戻る]
海軍は自国の技術に自信を持ち始めるが、先に英国で建造された同型艦“金剛”と比し、鋼板など各所の品質が劣っていた。

注33: シャブリー、100インチ望遠鏡で銀河の大きさを計測する。[戻る]
星間物質の存在を知らなかったため、また星の分布が一様と仮定したなどにより、実際よりも大きい値を得る。

注34:スミス、ワシントン大学から文学博士号を授与される。[戻る]
資料によっては理学博士となっていますが、ここでは創元文庫版のあとがきに従い文学博士とします。勤務の傍ら“宇宙のスカイラーク”の執筆を再開。苦手な“ロマンスの要素”も含め、今後は独力で作業を進める。結局、スミスはほとんどの活動期間を兼業作家として通すこととなる。

注35:八八艦隊計画の1番艦“長門”完成。[戻る]
我国のド級艦として最初の成功例。世界最大の40サンチ砲を装備した32ノットの高速戦艦で“長門と陸奥は日本の誇り”などと唄われた。大和級のような迫力はない分、スマートで美しい艦影である。最も軍艦マーチの似合う船。

注36:“宇宙のスカイラーク”完成。[戻る]
当時としては内容が斬新すぎたためか?、投稿先のすべての雑誌に掲載を断られる。この後8年もの間“宇宙のスカイラーク”はアメリカ中の編集者の間をタライ回しされることとなる。

注37:A・メリット“金属モンスター”を発表。[戻る]
ウィアードテールズの熱心な読者E・ハミルトン少年に小説家への道を歩ませるきっかけとなる。

注38:ワシントン軍縮会議。[戻る]
この結果、海軍は主要艦艇の削減を受ける。六割海軍などと言われたのはこれ(対米6割)による。しかしながら国力に比して巨大すぎる八八艦隊計画が中止になったことにより、日本経済は潜在的な破産の危機から救われたとも言える。

注39: チャペック“ロッサム万能ロボット会社”を発表。[戻る]
ロボットという単語が初めて使われる。ただしチャペックのロボットは現在イメージされるような金属ボディのそれではなく、生化学的ロボットとでも言うべきものであった。元祖・星をつぐもの。

注40:関東大震災起きる。M8.0。死者・不明14万2千。[戻る]
国内経済に大打撃。後の日米開戦の遠因の一つとなる。空母に改造中の巡洋戦艦“天城”が地震でドックごと大破。廃艦となる。代艦として“加賀”が空母に改造される。

注41: ウィリス・オブライエン,映画“ロストワールド”を公開。[戻る]
最初の映画化でありながらも、数回に及ぶ映画化のうち最も面白い出来栄えと言われている。試写会に招かれた原作者ドイルは、恐竜の登場するシーンを絶賛。(特殊効果だと思っていなかったと言う説もある。たぶんそうであろう。)

注42:アメージング・ストーリーズ誌に“宇宙のスカイラーク”連載開始。[戻る]
このころ既に、スミスは後のレンズマン・シリーズの基礎的アイデアを得ていたようである。少年時代のA・C・クラークは本作ラスト近くの空中艦隊戦シーンに感銘を受け、長じてプロ作家となった後も忘れられず、これが名作“地球光”の生まれるきっかけとなったそうな。

注43:コードウェナー・スミス密かにデビュー。[戻る]
デビュー作は人類補完機構シリーズ第一作とされる“第81-Q戦争”。ラインバーガは当時14歳(!)であった。いやあ、妙にほのぼのとした作品だと思ったら、こういう訳だったんですね。掲載紙はSF雑誌ではなく、ワシントンDC公立学校士官候補生団機関紙アジェンダ。こののち20年程度、SF執筆から遠ざかることになる。

注44:スミス“火星航路SOS/惑星連合の戦士”を発表。[戻る]
張り切って始めたものの読者の評判はすこぶる悪く、内容について編集者(スローン)ともめる。このトラブルに加え、原稿料についてもめたことが、アスタウンディング誌へのFAにつながったと思われる。今読んでみるとそんなに悪い出来ではない。同じく地球・火星・金星の連合を扱った“三惑星連合軍”などよりも(少なくとも2/3位までは)ずっと面白く、先々が楽しみなガジェットもテンコ盛りです。連載時に不評であったため急いで終わらせたのか、広げに広げた大フロシキを丸めてしまい込むような終わり方をするが、スミスの思った通りに最後まで書かせていれば、スカイラーク,レンズマンに匹敵するシリーズに成長していたかも知れず誠に残念と言わざるを得ない。ニーヴンあたりが続きを書いてくれんかなあ?絶版状態だからテキトーな事を書いている訳じゃあないよ。

注45: スミス“ヴァレロンのスカイラーク”を発表。[戻る]
本作の登場によりアスタウンディング誌は1万部以上売り上げを伸ばし、創刊以来の黒字を更新する。同時期の作品のためか“火星航路SOS”とストーリィ構成上の類似点が見られる。不評だった“火星航路”の強化策として“ヴァレロン”用のネタを流用したのでは?。

注46:平田晋作、少年倶楽部誌に“日米若し戦わば”を発表。[戻る]
日本の敗戦の可能性についても触れるなど、比較的冷静な筆致で読者を獲得。少年向け軍事評論家としての地位を確立。

注47:最初の本格的怪獣映画“キング・コング”が公開され、世界中で大ヒット。[戻る]
本作を見た円谷英二は、本格的特撮映画の製作を夢見る。本作が“ゴジラ”などの後続諸作に与えた影響については、コメントする必要もあるまい。

注48:蘭郁二郎、肺浸潤の宣告を受け、日本電気を退社。[戻る]
本人は落胆しただろうが、結果的にはSF作家蘭郁二郎の生まれるきっかけとなる。人間万事塞翁が馬である。

注49: スミス“三惑星連合軍”を発表。[戻る]
当初は、レンズマン・シリーズの一つとしてではなく、独立した作品として書かれた。三つの惑星が連合して外敵と戦うと言うアイデアは“火星航路SOS/惑星連合の戦士”で失敗して以来の再チャレンジである。よほど気に入っていたらしい。しかし正直言って、このアイデアは上手く消化されていない。“三惑星連合軍”は出てくるが、三つの惑星が連合して外敵と戦うシーンはないというちょっとアイデア倒れの作品。これなら“火星航路SOS/惑星連合の戦士”のほうがずっと面白いがなあ。

注50:スミス、ミシガン州のダウン・ドーナッツ社へ移籍。[戻る]
利潤を受け取れる結構な身分の筈だったが、実は赤字の連続で連日のハードワークに。兼業作家はつらいよ。

注51: ドン・スチュアート(J・W・キャンベル)“影が行く”を発表。[戻る]
後に“遊星よりの物体X”“遊星からの物体X”として映画化され、どちらも大ヒット。

注52: CBS放送“宇宙戦争”を放送。[戻る]
迫真の出来栄えであったため、ドラマを本気にした人々が全米各所でパニックを起こし大事件となる。後の研究では、蔓延する戦争(第二次世界大戦)への不安が大パニックの原因とするものもあるが、ここではやはり“当時は、あれだけ多くの人間が火星人の来週をリアルなこととして認識していた”という野田昌宏説(NHK人間大学)をとりたい。

注53:“黒い破壊者/宇宙線ビーグル号”[戻る]
ずっと後になって、映画“エイリアン”は本作からのアイデア借用であるとして訴訟沙汰となり、裁判の末“ビーグル号”側の主張が認められた。

注54:R・A・ハインライン[戻る]
フィラデルフィア海軍造船所に勤務し、約4年半もの間SF執筆から遠ざかる。

注55:アメージング誌に“シェーヴァー・ミステリー”連載される。[戻る]
超自然系の記事をノン・フィクション仕立てで掲載し、一部読者の熱狂的な支持を得る。SFマガジンに“ムー”や“Xファイル”もどきの記事が載ったところを想像して欲しい…って、あれ、あんまり違和感ねえぞ?! まっとうな読者からは“アメージングの大脳を切り捨てた”として非難される。

注56:宇宙と哲学誌が創刊される。[戻る]
戦後最初に“科学小説”を積極的に掲載した雑誌。誌上にて戦後最初の科学小説懸賞募集(SFコンテスト)を実施。

注57:ケネス・アーノルドのUFO目撃。[戻る]
一応、最初のUFO目撃例であるらしい。9つの丸い物体が編隊を組んで“平らな石(ソーサー)が水面を跳ねるように”飛行するのを目撃。新聞に報道されるときに“円盤のように跳ねる飛行物体”ではなく“空飛ぶ円盤”と(誤って?)掲載される。円盤型というデザインが時代の気分にマッチしたのか?これ以後円盤の目撃談が急増してしまう。ちなみにUFO映画“未知との遭遇”公開以後は、さも偶然のようにシャンデリア様のUFO目撃が増えるのである。これまではSFの宇宙船の形といえば“球形”“円筒形”が多かったが、これ以後は“円盤型”が主流に。

注58:ファンタジー・プレス社から、レンズマン・シリーズ全巻が出版さる。[戻る]
スミス、これに合わせて“三惑星連合軍”に六つの章を加筆、また既発表の4冊と“三惑星”との橋渡し用に“ファースト・レンズマン”を書き下ろしてレンズマン・シリーズを完成させる。率直なところ、筆者はこのような半ば力技的なシリーズ化については否定的である。“レンズの子ら”までで十分だと思う。特に“三惑星”は“ちょっとね”の出来栄えだしねえ。創元推理文庫版では、外伝にあたる“渦動破壊者”を加えて全7冊。残念ながら、いずれも絶版状態である。後に別の作家により、本シリーズへのオマージュ“ドラゴン・レンズマン”“リゲルのレンズマン”が追加されている。

注59:G・アダムスキー“空飛ぶ円盤搭乗記”を発表。大評判となる。[戻る]
アダムスキーは次から次へと新しい円盤搭乗記を発表し、カルトな人気を得る。この後しばらくは、アダムスキーが写真を発表した円盤と同デザインの円盤の目撃談が急増。確かにそれまでに目撃された“ただの円盤”に比べずっとデザイン的で、同時代の人々が飛びついたのも分かる。もちろんアダムスキーは本当に円盤に乗ったわけではなかった。売り込みに失敗した三文SF小説を“空飛ぶ円盤搭乗記”と改題し、ノンフィクションとして発表したというのが真相で、つまりは文才が中途半端だったために却ってそこいらの作家よりも有名になってしまったのである。すでにアダムスキーのペテンは広く知られており、特に欧米に於いては“アダムスキー型の円盤”というだけでニセモノの証拠とされるほどであるという。ところで、現在最もアダムスキーの読者(カルトの信者と言うべきか)が多いのは、この日本だそうな。

注60:“放射能X”が公開される。[戻る]
“放射能で巨大化した生物の襲撃もの”の元祖の一つ。これまた無数の追随作品を生む。ご存知、横山光輝“鉄人28号・巨大アリ編”の元ネタであります。今観ても、クラシックの味わいというやつで結構面白いです。

注61:“ゴジラの逆襲”[戻る]
前作のゴジラが東京にのみ上陸したため、関西の映画館主からの“大阪にもゴジラを”との要望に応えて制作された。ゴジラとアンギラスの決闘を描くにあたり、前作で実現できなかった生物のすばやい動きの表現が目標とされ、着ぐるみの関節近くに切れ込みを入れたり、フィルムの撮影速度を変えたりと様々に工夫されたが、結果はもう一つであった。前作に比べ評価の高くない本作であるが、円谷監督が元々目指していたゴジラ像とは、必ずしも現在当たり前に考えられているような“スローで重量感のあるゴジラ”ではなく、むしろハリウッド版のCGゴジラのような“生物の躍動感に満ちたゴジラ”だったのではないか?と思わせる点で興味深いものがある。ところで、第3作の“キングコング対ゴジラ”を観る限りでは、本作ラストでゴジラを封じ込めた氷山に何も標識を付けないばかりか追跡調査もせず、他国に警告も出していなかったらしい。無責任シリーズの第一作は本作か?

注62:日本宇宙旅行協会が発足。[戻る]
先ずは世間に関心を持ってもらうことという訳で、火星の土地を分譲開始。「遵法精神の旺盛な宇宙人が、一軒一軒回ってこの権利書を買い集めにくる」というお話が藤子F不二雄の短編にあったっけ。

注63:東宝“空の大怪獣ラドン”を公開。[戻る]
ストーリ・特撮共に良い出来栄え。初期怪獣映画の最高傑作の声も高い。同感である。今見ても十分面白い。日本特撮の特長たる丁寧至極なミニチュアワークはこの時代に完成したと言って良かろう。

注64:大映“宇宙人東京に現わる”を公開。[戻る]
岡本太郎デザインのヒトデ形宇宙人が登場。特撮・造形は未熟だが、デザインのインパクトは抜群だった。

注65:“禁断の惑星”公開。[戻る]
この時代のアメリカ映画界の実力を示す端的な例。さすがにデザインは古びてきたが、レトロフューチャーと思えば良し。この水準のSF的ストーリーを、残念ながら日本のSF映画は未だに持ち得ていない、と思う。

注66:“スーパージャイアンツ”[戻る]
レンタル・ビデオ屋で見つけても、観なくていいです。主演はザ・ガードマン高倉で有名になる前の宇津井健。未だかって、これに出演したことを自ら語る宇津井を見たことがない。スーパージャイアンツの衣装の白マント様の部分がマント(ケープ)ではなく、ムササビの飛行膜のように手足の間に張られたデザインだと分かった時はショックだったなあ。
本作の一番の問題は、主役たるスーパージャイアンツがちいとも強くもカッコ良くも見えないということである。これなら、日本版ターザン映画というべき“力道山の鋼鉄巨人”(本人が自分自身を演じている)の方がよっぽど強そうだ。本作の最大の意義は、ダイコン・フィルム制作の“快傑のうてんき”のコスチュームデザインに多大の影響を与えたことであろう。

注67:“蝿人間の恐怖”[戻る]
これ以後“電送機の事故”は定番アイデアの一つとなり、東宝の“電送人間”や手塚治虫“鉄腕アトム・電送人間編”などを生むことになる。

注68:ソビエト連邦の探査機が、月面裏の撮影に成功する。[戻る]
オモテ面とあんまり代わり映えがせず、多くの天文ファン・SFファンをがっかりさせた。誰の目にも、自称超能力者たちが発表してきた数々の“月面の裏”写真はすべてがインチキと分かるようになった。もっとも、最近はこの種の実際に撮影された写真を昔の資料に交ぜ、これぞ本当の念写写真と言い切る鉄面皮なやつもいるので油断はできない。

注69:トヨタ、パブリカを発売。[戻る]
期待されるも、実用一点張りの仕様に売り上げはもう一つ伸びず。この不成功が次のカローラに生かされ、大成功の基礎となった。

注70:SFマガジン第1回空想科学小説コンテスト の結果は以下の通り。[戻る]
入選・該当作なし、佳作第1席・山田好夫「地球エゴイズム」、第2席・眉村卓「下級アイデアマン」、第3席・豊田有恒「時間砲」、努力賞・小松左京「地には平和」

注71:SFマガジン第2回SFコンテストの結果は以下の通り。[戻る]
入選1席、2席・該当作なし、3席・小松左京「お茶漬の味」・半村良「収穫」、佳作・筒井康隆「無機世界へ」・朝九郎「平和な死体作戦」・山田好夫「震える」・豊田有恒「火星で最後の……」

注72:円谷プロダクション設立。[戻る]
意外にも、最初の仕事は日活作品“太平洋ひとりぼっち”の暴風雨シーンであった。

注73: 本田技研、ホンダスポーツS500を発売。[戻る]
国産最初の量産DOHCエンジン搭載車だった。

注74:SFマガジン第3回SFコンテストの結果は以下の通り。[戻る]
入選・該当作なし、佳作第1席・吉原忠男「太陽連合」、第2席・松崎真治「プログラムどおり」、第3席・永田実「黒潮」、努力賞・岩武都「金色の蟻」・二瓶寛「昆虫都市」・西崎恭「宇宙艇307」・小川俊一「海底より永遠に」

注75: 日本SFファングループ連合会議結成。[戻る]
宇宙塵、SFアート研究会、コアなど九団体により結成。

注76:“世紀の大怪獣ガメラ”[戻る]
モノクロ作品である点など、ゴジラに対抗して製作した割には少しばかり腰が引けているところも。作品の出来はなかなか良いです。後の方と違ってストレートな怪獣映画です。この時代の特撮現場はお互い知り合い同士でもあり、東宝のスタッフがないしょで手伝いに行っていたらしい。

注77:スタンリーキューブリックSF映画を製作開始。[戻る]
その作品は1968年に完成し“2001年宇宙の旅”のタイトルで公開されることになる。手塚治虫に美術デザインの依頼(2年ほど渡英して欲しい!)があったが、時あたかもTVアニメ“鉄腕アトム”の製作真っ最中であり実現する訳もなかった。



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