あ行か行/さ行/た行な行は行ま行や行ら行
スペースオペラ用語辞典/さ行

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サイクロトロン[さいくろとろん](参考)

  1. アメリカの物理学者ローレンスが1930年に発明した粒子加速器の一種。この発明により、ローレンスは1939年にノーベル物理学賞を受賞した。

    円周形をしており、この中で「渦を描くように」素粒子が加速される、というところからこの名が付けられている。直線加速器に比べて、比較的小さな規模でも素粒子に高エネルギーを与えることができる。

  2. キャプテンフューチャー・シリーズにおける宇宙船の動力源。
    燃料は粉末状の銅+カルシウムまたは粉末状の鉄が知られている。前者は大きな出力が得られるものの原子爆発がやや不安定で、実用的なサイクロトロンではカルシウム(またはこれを含む生物!)などの反応安定剤(抑制剤)が不可欠である。後者は原子爆発反応が安定しており、特に反応安定剤を必要としないといった特長があるものの、高出力を得るのは困難とされている。

    サイクロトロン内部で発生する「原子爆発」のパワーを部分的に噴出させることによって推進力を得ている。宇宙船を押し続けるための「連鎖的原子爆発」用として、あるいは点火用コンデンサの充電用として一部のエネルギーが費やされるため、オリオン計画で考えられていたような単純な「原子爆弾船」と比して効率は若干落ちると思われる。

  3. 宇宙船の場合周囲に空気がなく、自動車や航空機で行われているような熱の排出は困難と予想されるから、放熱設計は非常に重要である。
    ところで、一部パルプマガジンの表紙画においては、宇宙船の船首部分が「まるで飛行機から主翼とプロペラをなくしただけ」といったデザインになっていることがある。賢明なるスペースオペラ・ファンの諸氏にはもう御分かりであろうが、この船首(機首と言うべきか?)の構造はエーテルを効率的に取り入れ、サイクロトロンの冷却に役立てるためのエーテル・インレットと考えるべきである。(何しろパルプSFの宇宙空間は絶対零度の筈だ。)

    コメット号の場合、少なくとも大型のインレットが見当たらないことから、非常に発熱の少ない高効率のサイクロトロンであることが伺える。

  4. さて、「謎の宇宙船強奪団」の中で「サイクロトロンを運転しながら分解して修理する」という、ハミルトンならではの無神経な位に凄いシーンが出てきます。ここは筆者がシリーズ中1・2に好きなシーンなんですが、ここを読む限り、本シリーズのサイクロトロンってのは「アラジンの石油ストーブ」そっくりだなあと思えてしょうがないんですけど...そう思いません?


サイドローブ[さいど・ろーぶ](参考)

  1. 八木アンテナやパラボラアンテナなどの指向性アンテナにおいては、前方向きの「メインビーム」のほか、これとは別の方向への電波の漏れがあり、この一部を「サイドローブ」と呼んでいる。

    電磁波に指向性を持たせようとしても、完全にサイドローブのない放射器を作るのはなかなかに難しい。

  2. ところで和製特撮映画にちょくちょく登場するパラボラ型の「熱線砲」というやつだが、熱線=命中して高熱を出す電磁波の一種=マイクロ波の一種...と考えていくと、パラボラ型の放射器=波長に対して十分に径の大きなパラボラアンテナ=非常にビーム幅の細い指向性アンテナと考えられる。

    しかしながらアンテナにサイドローブは付き物である。普通のマイクロ波レーダ程度の出力でさえサイドローブ輻射には気を使うのだが、「○スラ」の繭を丸焼にするほどの出力であれば話は非常に深刻である。あの時にも盛大に「サイドローブ」が出ていたにちがいない。

    「モ○ラ」殲滅作戦のおり東京タワーの周囲数キロにわたって住人を避難させた背景には、こうした「マイクロ波被爆防止」も大きな理由だったのだろう。画面に写ってはいないが、現場を中心にした半径数キロの領域を囲むように巨大なシールドの「カーテン」が作られていた可能性も十分考えられる。
    「モス○」がさなぎになって眠っていた期間は定かではないが、あれだけのサイズの生物が変態するのであるし---少なくともロリ○カ国から数基の原始熱線砲を運び込む余裕はあったのだから---そのサイズ・重量から考えて輸送は船としか考えられず、2ヶ月程度はあったのではなかろうか?
    これだけの準備期間があれば、完全とは行かないまでも、かなりの長さにわたって「シールド・カーテン」の建設は実施されたであろう。

  3. こうした危険が有ることは、軍関係者はもちろんのこと報道関係者にも事前説明があった筈だが、我国の報道関係者がそれで引き下がるとも思えず(どこか一社が手を挙げれば、結局全員が参加したにちがいない)、「一筆」入れさせてシールドの内側に立ち入りを許可し、結局ほとんどのマスコミ関係者が「○スラ」殲滅戦を見物したのに違いない。


Sci−Fi[さい・ふぁい](参考)

  1. いささか手垢の付いてきた感のある「SF」に代わる新しい用語として、アメリカの有名ファン「フォレスト・J・アッカーマン」が提唱した略称。さすがに「SF」を完全に置換えるには至ってないが、アメリカ製ゲームのパッケージやペーパーバックの表紙/背表紙上では結構お目にかかることから、かの国では相当普及しているようである。

  2. アメリカの有名ファン「フォレスト・J・アッカーマン」の自家用車のナンバープレートには「Sci−Fi」と書いてあるそうである。


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G[じー](参考)

  1. 地球表面赤道での重力加速度を意味する単位。1G=約9.8m/s^2である。
    最近では国内でも99年10月からの新計量法施行によりSI単位系による表記を使用しなくてはならないため、製品カタログ等の上ではお馴染のGが使用できず全てm/s^2に変更されることとなった。

  2. このSI単位系への流れは全世界的なものなので、何れは地球表面の重力加速度を表すGという単位は公式には姿を消すこととなる。ヤード・ポンド法と並んで、GがクラシックSF用語になってしまう日が来るとはなあ。


シオナイト[しおないと](レンズマン・シリーズ)

  1. 史上最悪の麻薬の一つ。

    材料は惑星トレンコでのみ採集可能で、「靴のかかとに隠せる分量でも生涯遊んで暮らせる額」になるほどの高価な麻薬。 その効力は他の麻薬の比ではなく、シオナイト中毒になったら最後治療する有力な方法はない。ボスコーンの有力な資金源の一つである。

    「ファースト・レンズマン」において、バージル・サムスはボスコーン組織に侵入するため自らシオナイトを受け入れるが、この後、サムスの鋼鉄の意志をもってしても、シオナイトの誘惑から抜け出すのは並大抵のことではなかった。

  2. 初期のボスコーン組織においては、一旦シオナイト中毒者にしておいてから組織に組み込むという方法で寝返りを防いでいたが、もしかして、「3俵2人扶持」といったようにシオナイトの年間配給量で地位が決まっているのではないだろうか。

    この場合、シオナイト自身はボスコーン内部ではあふれかえっているから、経済の原則に従って組織外のような高値は付かない。よって組織を維持するためにますます多量のシオナイトを配給し続けなくてはならず(何しろ、キムボール・キニスン登場以前はボスコーンは圧倒的優勢−−−手柄を立てて昇進する奴が多い−−−であったのだ)、こうしてボスコーンが「勝てば勝つほど」一種の組織内インフレーションが進行するから、「靴のかかとに隠せる分量でも生涯遊んで暮らせる額」どころか、しまいには「ハンバーガー1個買うのにリヤカーにテンコ盛りのシオナイトを持っていく」などという事態になっていた可能性すらある。

    ヒゲ面こわもての宇宙海賊が、PXのおばちゃん(もちろんこっちも宇宙海賊出身)から「こぉの甲斐性なしが!まぁた、シオナイトなんぞ持って来やがって。こないだも言ったろう。ウチは連邦ドルしか受け取らないんだよォ。商売の邪魔だから、さっさと持って帰ンな!」などと詰られる風景が、あちこちの宇宙戦艦で見られたにちがいない。

    ボスコーンという組織は、パトロール隊が負けつづけるだけで勝手に内部崩壊したのかもしれない。

  3. 「銀河パトロール隊」において、ボスコーン本部への破壊工作に大量のシオナイトが使用された。


シートン・クレイン効果[しーとん・くれいん・こうか](宇宙のスカイラーク)

  1. ほぼ100%の変換効率が選られる物質/エネルギー変換現象。リチャード・シートンにより発見され、シートン自身とレイノルズ・クレインによって理論的根拠が確立された。

  2. その驚くべき変換効率ばかりが注目されがちであるが、同程度に重要な特徴は“直接各種のエネルギーを取り出せる”ことである。例えばガソリン・エンジンの場合、“爆発/往復運動/回転運動”と言うようにエネルギー形態を次々と変換させるため、変換のたびにロスが発生し、また機構も複雑になる。これに対してシートン・クレイン効果エンジンの場合、1次出力から運動エネルギーが得られ、余分な発熱や騒音は限りなく小さいのである。

  3. また、応用として、熱エネルギーを取り出す“X爆薬”および電力を取り出せる“X発電所”などが知られている。

シミュレーション[しみゅれーしょん](参考)

  1. 電気的・機械的・生物的などの系に関して実物と同様の法則に支配されている(と想定される)モデルを作成し、その挙動を模擬すること。電算機などを用いて行われることが多い。

シミュレーション小説[しみゅれーしょん・しょうせつ](参考)

  1. 架空戦記ものの通称として定着しつつある。困ったものである。前回の戦争に負けた悔しさも手伝ってか、「日本がアメリカに勝つ」お話や「日本が大義名分のある戦争でナチスを懲らしめる」お話が多い。
    「もし…だったら」で始まるので「IFもの」なんて呼び名もありました。

  2. 内容的にはシミュレーションともシミュレーション・ゲームとも直接の関係はないので「ほほう、珍しいなあ。今時ウォーゲームのリプレイなんて。ナポレオニックか西部戦線だと良いがな..」なーんて考えるとがっかりする。(って、そんな奴は今時いないよなあ)

  3. ところで「もし…だったら」がストーリの核になっている一種の思考実験小説と考えると、少なくともH・G・ウェルズにまでは遡ることができ、SFでは古典的な形式で目新しいものではない。実際以前は、出版する側も読者の側もこの種のものはSFの一種として捉えていたのだが、このごろ見かける一連の作品はSF扱いではないようだ。近頃はSFとレッテルが付くとそれだけで売り上げにマイナスの「寒い時代」だそうなので、しかたがないが…

  4. 現在(98年度末)でも本屋の棚の結構な部分を占めており、一時ほどの勢いは感じられないもののプロパーSFよりもよっぽど人気があるらしい。ただし、もちろんスタージョンの法則は生きている。ご注意。

  5. 第一期長嶋ジャイアンツが最下位に沈んだシーズンに半ばやけくそで出版された「無敵巨人90連勝!」なんかも(ドラフト逃れのために「ドラフト会議直前に養子に行って改名した原辰則」と「現役ばりばりのハンク・アーロン」がジャイアンツに入団する等の凄い設定だった! こんなの知ってるのは俺だけだろうなあ...)今ならシミュレーション小説と呼ばれたのかな?

  6. 先々のプロットを考えてから(=結果を先に決めてから)書くのでは、少なくとも「シミュレーション」しているとは言えないよな!(シミュレーション・ゲーム愛好家のつぶやき…)

  7. 追記.誤解を招きそうなので一言。筆者は架空戦記物のことを別段目の敵にしている訳ではない。それどころか「どっちかと言うと愛好家」である。(全体の出版量から見るとほんのちょっと読んだだけなので、とてもじゃないが愛読者とは言えないが。)
    筆者が目の敵にしているのは「シミュレーション小説」という呼称なのである。

シャンブロウ[しゃんぶろう](ノースウェストスミス・シリーズ)

  1. SF史上最高にセクシーな宇宙怪物の一つ。見た目は小柄な人間の美女だが、その正体は....

    同名の短編は作者C・L・ムーアの名を一躍高めたというだけのことはある名作。
    これを受け取った編集者が「今日はC・L・ムーア記念日だ」と言ってよろこんだそうであるが、気持ちは良く分かる。

    もっとも発表された時代が時代だけに、ポルノグラフィーなんぞとは違って比較的抽象的な描写が多く(あっネタバレになりそうですが、これはそういうお話です...ハイ。)、文庫出版当時はウブな高校生だった筆者がこれを読むには想像力を総動員する必要があり、最初はピンとこなかったのも事実である。しかし、再読するうちに....

  2. 本作はハヤカワ文庫「大宇宙の魔女」所載だが、誠に残念ながら現在では入手はかなり難しい。
    ハヤカワ文庫版は松本零士氏がイラストを担当されているが、原作に流れる少々デカダンな雰囲気とマッチして、これまた素晴らしい出来栄えである。

  3. 大元帥が如何に「シャンブロウ」に思い入れが深く、また自らの手で訳出したかったであろうことは、「SF英雄群像(「シャンブロウ」に関する最初の一般読者向け紹介のひとつ)」に明らかであるが、ご存知のようにハヤカワ文庫版は仁賀克雄氏の名訳により出版されている。当時「シャンブロウ」を訳したい人は「たーくさん」いたのである。

    更に「死者に鞭打つ」というべきか、大元帥は「自分が翻訳の筆を執れなかった」ハヤカワ文庫版の解説を担当されており、「仁賀克雄氏の訳で読める読者は実に幸運である」と「恋敵の結婚式で祝辞を述べる如き」推薦文を書かれたおります。....嗚呼。

  4. 大元帥の愛車には歴代「シャンブロウn世号」と命名されている。

    最も思い出深いのは「シャンブロウ二世号(白いフェアレディZ)」であります。宇宙軍で徒党を組んで大元帥のお住まいを大掃除に行った時、光栄にも夕飯をご馳走になったのだが、その途中路上で「シャンブロウ二世号」がガス欠を起こしてしまい、深夜の路上を数人がかりでエンヤコラと押し掛けしたっけなあ...

    現在「n」に幾つの数が入っているのか未確認である。


白背[しろ・せ](参考)

  1. 早川SF文庫で「ペリーローダン」と「青背」以外のもののことでしょう?と言いたいところだが、----「グインサーガ」は一応JAのカテゴリーだからこれは勘定に入れないとして----楽しいことに現実はもうちょい複雑である。

    実はごく少数ながら「ベージュ背」や「緑背」のものも存在していたのをご存知だろうか?
    スペースオペラ傑作選と銘打って出された「太陽系無宿」「お婆ちゃんと宇宙海賊」がそれで、確か前者が「やや緑がかったベージュ背」後者が「緑背」だった。(どちらも翻訳はわれらが大元帥である)

    もしかしたら他にもこんな例外があるかもしれない。ご存知の方は一報を。

  2. 本項目は「SFイベント情報」を運営されている野村真人さんからリクエストいただきました。有り難うございました。

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  3. 宮崎正生さんから以下のご指摘を頂きましたので、追記致します。

    先ず例外として、100番から125番のターザン・シリーズがハヤカワ文庫特別版SFとして背表紙が黄色です。
    更にロジャー・ゼラズニイの真世界シリーズがローダン・シリーズと同じタイトルまわりが色付きの背表紙をしています。

    次にこのローダン・シリーズを白背から外す事には異議があります。
    と言うのも、初期に刊行された分は20巻目の「精神寄生人の陰謀」までは普通の白背で刊行されているからです。

    それと白背と青背の区別ですが、単純に「青背以外が白背」とすべきではないでしょうか?
    最近は青背以外でも挿し絵のない物もあったりしますが(例えば再版されたキャプテンフューチャー・シリーズなど)。
    基本的には挿し絵の有無、それから古い物では紹介文の掲載場所(青背がカバーの裏表紙、白背が1ページ目)で区別すべきではないでしょうか。

    これを元に考えると、緑背もベージュ背も黄背もローダン・シリーズも真世界シリーズも、全てひっくるめて白背と言うべきではないのでしょうか。

真空管[しんくう・かん](参考)

  1. クラシック宇宙活劇における主力電子部品。超光速エンジンもタイムマシンも反重力ドライバも原子熱線砲もウルトラウェーブ通信機も、昔々のハイテクは全部真空管で作ったものである。
    今でこそノスタルジアとお笑いの対象でしかないが、真空管というやつは何しろ押しが利く外観をしており、当時の読者にとっては、今日の我々が“マイクロプロセッサ”を見る以上のステータスが感じられたことであろう。

  2. “火星航路SOS”の作中、特殊な真空管の製造に必要な高真空を求めてわざわざ宇宙船で上昇する、というくだりもありました。

  3. 実在の電子部品の一種。テレビのブラウン管(CRT)やレーダーのマグネトロンと同じく“電子管”に分類される。意外にも、こう考えると未だ当分は現役の電子部品なのである。
    英語呼称はラジオ管(RadioTube)。
    整流や増幅の機能があり、半導体素子が発明されるまでは電子回路の中心的存在であった(筆者が中学生の頃までは“5球スーパー組み立てキット”なるものが売られていた!)が、現在ではほとんど見かけることはなくなってしまった。が、“構造が複雑で小型化が困難、複数種の電源が必要なうえに電流消費が大きく発熱量も大、おまけに信頼性も低い”と欠点だらけでは無理もない。

    円筒形の電極を同心円状に配置し、全体をガラスで封印し内部を真空に近い状態(このため真空管と呼ばれる)にした構造を持つ。基部にコネクタ(というより、ほとんど口金)があり、故障時には簡単に交換できた。もっぱら内部の電極の数により用途が決まり、2〜7極管程度までが作られていた。

    先に小型化が困難と書いたが、もちろん小型化の努力は払われていた。電球様の初期のもの→10cm長のナス形のST管→親指サイズのミニチュア(MT)管→小指の太さでもっと短いサブミニチュア管と順次小型化されたものが開発されていたが、トランジスタ・サイズにはついに及ばなかった。また真空管といえばガラス管のイメージが強いが、全体を金属で覆って信頼性を高めた軍用の“メタル管”というものさえ作られていた。

    中心部に細い逆V字形のヒータ(フィラメント)があり、通電するとオレンジ色に点灯するところなど、夏場こそ熱くてたまらないが、冬場はほのぼのとした雰囲気さえ漂ってきて誠に良いものである。ガラスに封入された複雑な電極や格子なども一種の工芸細工のようであり、未だにファンが残っているのもうなずける。

  4. 1990年に開催されたCF-CON(キャプテンフューチャー生誕記念イベント)のオープニングによると、グラッグの主要部品として“32bitの真空管”が使われているそうな。

人工重力[じんこう・じゅうりょく](参考)

  1. 人工的に作り出された重力のこと。重力を人工的に作り出すもっとも簡単な方法は、船体を回転させて遠心力を発生させ重力の代わりとすることである。また、燃料を気にしなければ1Gで加速し続けるのも良いであろう。

  2. 筆者には、重力をどうやって発生させているか?が作品のフレーバーを決定するある種の分かれ道であるように思える。「床下に埋め込んだ人工重力発生ユニットのスイッチを入れればそれでOK」というのももちろん否定しないが、これが許される世界は超技術(何でもあり)の許される世界であって、却ってSF味が薄く感じられるような気もしないではない。それとも、これも筆者がSFの読者としてスレてきたということか。

  3. スカイラークシリーズにおいては、意外なことに人工重力の登場はかなり後(「ヴァレロンのスカイラーク」から)である。

  4. 人間の肉体は1G重力下での生活に適応しているため、短期間なら低重力下の方が快適だが、長期間低〜無重力下で生活すると健康に悪影響があることは良く知られている。比較的リアルな設定の作品に登場する恒星間宇宙船では船内で長期間生活せざるを得ず、この重力の問題は深刻である。

人工生命[じんこう・せいめい](参考)

  1. 人工的に作り出された生命(生物)のこと。
    こいつをメインモチーフにした作品は、フランケンシュタインものなどと呼ばれる。

  2. ところで、ロジャー・ニュートン博士とサイモン・ライト博士が月に隠れてまで完成させようとした研究は、人工的に生命を作り出すことであった。この研究の第一号がロボットのグラッグであり、第二号がアンドロイドのオットーであることは良く知られている。

  3. 第一号たるグラッグの場合、人工生命計画の第一段階であり“基礎理論の実証モデル”として位置づけられていた筈である。研究の主目的は人工人格(人工魂?)の創造であり、主なエネルギーは“人工魂ソフトウェア”の確立に注がれた。ソフトウェアの仕様が固まって後に、これをインストールする器としてボディの仕様が決められたのであろう。グラッグが巨人型ロボットになったのも、確立された技術の範囲でなるべく無理せずにハードウェアを設計したからと考えれば納得が行く。

    ついでに言うと、グラッグの基本設計は地球を出発する時には完成していたのではなかろうか?グラッグの組立に必要な部品を一から月面で作ったとは考えにくい。月面では最終組立と最終デバッグが行われたと考えるべきである。

  4. オットーの場合は先にグラッグで実証された人工人格理論をスタート地点とし、今度は“生物の機能”を設計することが研究の目的となった。ただし、最初から完全な生命体の創造は困難と考えたためか、生命体としての機能を幾つか省略した比較的簡易なモデルの作成が目標とされた。

    オットーの肉体が蛋白質で作られず、合成樹脂系の材料で作成されたのはあくまで“生命機能の簡易実証モデル”だったからである。オットーに生殖機能などの“生物種としての”機能が備わってないのも止むをえなかった。

  5. さてこうして考えてみると、ロジャー・ニュートン博士とサイモン・ライト博士の研究はまだ未完成であることが分かる。彼らの研究が完成した暁には、あらゆる面でフューチャーメンをも凌ぐ超生命(超人類)となったのではなかろうか。シリーズを全巻読んでみても人工生命体は出てこない様であるし、フューチャーメンの次の冒険譚のタイトルは“人工超生命軍団あらわる”だったのだろうか?

  6. さらに突っ込んで考えると、完成品/完全体=カーティス・ニュートンその人というアイデアも「有り」である。何しろニュートン夫人が月面へ移住する前に妊娠していたのが正しくカーティス本人かどうか?我々には確認する術が無い。すべてはフューチャーメンの証言があるだけなのだから。(しかし完全な人間と思われたカーティス坊やはいつまでたっても背が伸びず…と来ると“鉄腕アトム/天馬トビオ”ネタですな!)

震電改[しんでん・かい](参考)

  1. 高々度迎撃用戦闘機として海軍が九州飛行機に試作させた、先尾翼高速戦闘機「震電」の改良型のこと。 原形たる「震電」自身がテスト飛行したところで終戦を迎えており、もちろん実在しなかった。

    「震電」という機体は、独特で優美な姿態と「実力はあったのに活躍できなかった」という「日本人好みの神話」に彩られており、ファンは多い。かく言う筆者も少年時代から熱烈なファンの一人である。

    となれば、こいつが架空戦記物にちょくちょく登場するのも当然であろう。そもそも架空戦記という代物自身が「満たされなかった夢をむりやり結晶させた」様な物である。「もう一歩で実現・活躍できた筈だ」という朝露のごときはかない神話をまとった「震電」のそのまた改良型こそは、架空戦記という「時の止まったフィールド」上を飛ぶのに相応しいではないか。

  2. 先にも述べた通り、筆者は今でもこの飛行機の大ファンではあるが、このトシになって落ち着いて考えてみると、誠に残念ながら−−−あのまま「震電」が完成していても、ほとんど活躍できなかっただろうと思われてならない。たとえ当時の日本に十分な国力があって、量産技術がアメリカ並みであって、超2000馬力級の優秀なエンジンがあってもである。

    もちろん史実の「震電」の不振に関しては当時の国情が最大の原因だが、それと同時に「震電」の機体設計にも色々と問題が多そうだ。

    特に問題になりそうなのが「方向安定性の不足が予想される」点である。これは「航空情報」誌99年10月号掲載の「航空機の形を科学する(第1回)」に詳しいので是非読んでいただきたいが、高速迎撃機でありながら方向安定性が不足する様では、実用に耐えるとは思えないのだ。大変悲しいことではあるが−−−実際にああした形式の機体でレシプロ戦闘機として実用化されたものがない、という事実からも−−−仕方のないことなのかもしれない。

    おっといけない、ここは「震電」ではなく「震電改」の項目でした。

  3. さて「震電改」についてだが、ちょっと気に掛かるのが結構安易に登場する「ジェット化された震電改」という奴である。確かに資料によっては「予め将来のジェット化を見越して検討されていた」かのように書かれているものもあるが、これって本当かな?いやつまり、本当にあのままジェット化できたのであろうか。

    大体、当時何とか使えなジェット・エンジンと言えば、陸軍のアレしかないではないか! アレはターボジェットですよターボジェット! ターボジェットってのはターボプロップなんかと違ってとっても細長いんですけど。どう考えても「震電」のお尻からニョキッと巨大な筒っぽが出っ張りそうで、見た目のバランス最悪のうえ、離着陸時にはゴリゴリ滑走路にこすりそうである。

    それにそれに、エアインテークをどうする?

    機体の脇や底に付ける程度では、やはりターボジェットがお尻に出っ張って目も当てられない恰好になっちゃう。

    機体の真ん中にエンジンを持ってきて機首にでっかいインテークでも開けた日にゃ、そもそもの目的であるところの「機首に重武装を集中搭載する」が実現できないし、第一そんなセイバーみたいな形になったら、たとえ機体として成功しても「震電改」とは言えないよなあ。

    そう言えば、この問題に関し?が付くのがプラモ・メーカのハセガワである。かつて「震電改」と称しターボジェット化したやつをモデル化して販売していたのだが、プロポーションは元の「震電」とほぼ同じだから、ターボジェットエンジンが入っているとはとても思えない。

    年季の入ったスケールモデルのメーカなんだから、せめて「ターボプロップ」仕様にするとか、もうちょっと大人の芸のあるところを見せて欲しかったのだが、誠に残念である。少年の頃は「飛行機のハセガワ」の大ファンだったのだが、あの金看板はもはやハリボテなのかなぁ...

     

真方位[しん・ほうい](参考)
  1. 最近流行りの仮想戦記ものなどを読むと、時々この語にお目にかかる。元々は航空・航海用語の一つで、「真北(地理上の北)を0度とした時に、これ対して時計周り方向に測った時の方角」のこと。

  2. 「敵艦位置,真方位270」と言えば、「我方から見て敵は西」ということである。

     

信用単位[しんよう・たんい](銀河パトロール隊ほか)
  1. あまり馴染みの無い用語だが、おそらくクレジットのことであろう。
    「クレジット」の項を参照のこと。

人類みな兄弟[じんるい・みな・きょうだい](参考)

  1. 20年位前に日本船舶振興会が行っていたキャンペーンCM中の標語の一つ。

  2. 人類の歴史は戦争の歴史とも言えるから、絶えざる兄弟喧嘩ということか…

  3. スカイラークシリーズでは、“非常に遠く離れた太陽系にも、地球人類と良く似た種族が平行して発生し繁栄している。”という設定が度々出てくる。しかも、“人類同士は肉体のみならず精神的にも共通点を持ち、互いに理解しあえる間柄である。”らしい。まさしく“銀河人類みな兄弟”である。

  4. このような“個々の惑星に人類が平行して発生する”といったアイデアをもっと掘り下げていけば、これはこれで非常に面白かったのだが、残念ながらスカイラークシリーズでは単なる背景で終わっていて、なぜそうなっているのか?についての考察や説明はされていない。スミスの(そして当時の読者も)興味の中心は発明とドンパチをエスカレートさせて行くことに向いていて、ほかの方向に気を向ける余裕はなかった様である。

  5. 追記.後の作品では非人類型の悪役宇宙人も登場しており、地球人類とノルミラン人などの類似点はホンの偶然ということになったらしい。

  6. 追記その2.最終作「スカイラーク対デュケーヌ」でちょこっとだけ「個々の惑星に人類が平行して発生している」現象について触れています。それどころか「アメーバ状のクローラ族も別々の銀河で平行進化している」ようです。
    これについてスミス自身の考察らしきものは特に見られませんが、「数種類の代表的な進化形態があって、それらは別々に発生し平行進化している。」というのはスカイラーク・シリーズの基本設定なのでしょう。
    これを発展させると、「人類連合VSアメーバ連合VSラーディ族」の三つ巴大河宇宙活劇が書けそうです。

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スカイラーク3号[すかいらーく・さんごう](スカイラーク3号)

  1. スカイラークシリーズ第二作。シリーズ中、筆者が個人的に最も気に入っている作品である。

  2. 今作では、フェナクローン宇宙艦隊による外宇宙からの侵略に対する惑星オスノーム+シートン一家の一大防衛戦が描かれる。

  3. スカイラーク3号のデザインも、宇宙のスカイラーク号,スカイラーク2号の小型球体から一転して巨大な円筒(硬式飛行船の形?)となり、宇宙戦艦らしく頼もしくなった。

スチーム・バス[すちーむ・ばす](宇宙のスカイラーク)

  1. 蒸気熱を利用した器材の消毒装置のこと。たまたま銅で出来ていたばかりにX動力の最初の例(燃料)となり、原作冒頭で空のかなたに飛んで行った。

  2. 訳出当時、蒸し風呂の一種か何かがすっ飛んでいったと思っていた少年読者は少なくなかったであろう。筆者もその一人で、読みながらずいぶん変な気分がしたものである。

スパイ光線[すぱい・こうせん](銀河パトロール隊など)

  1. 透過力の強い光線で、これを投射すると壁などの向こう側の様子を見ることが出来るらしい。
    おそらく「X線の強力なやつ」というイメージなのだろうが、いやー危ない危ない、「X線の強力なやつ」なんぞで覗かれたくはないものである。もっとも本当に「X線の超強力なやつ」だったら、覗かれた方も色々と自覚症状が出そうだから、「そっと覗き見るだけ」ってのは少々難しいかも。

    スパイ光線はさすがに可視光線ではない様であるから、これを見るには専用のゴーグルか受信機のようなものが必要と思われる。

  2. レンズマンシリーズにおいては極めてポピュラーな装備と見えて、大抵の場合は互いに「対スパイ光線シールド」のようなものを持っており、大仰な名前の割に役に立つ機会は少ない。

  3. レンズマン・シリーズでは割に良く使われているが、ほとんど説明抜きで使用されており詳細は良く分からない。もしかしたら、原作発表当時の他の作品群でも良く使われていて、当時の読者にとっては説明不要なものであったのかも知れない。(現在であれば、例えば「コンピュータ」という用語に付いて作中でごちゃごちゃ説明するようなものなのかも…)

SpaceHound of IPC[すぺーす・はうんど・おぶ・あいぴーしー](宇宙のスカイラーク・後書き)

"スカイラーク3号”の後にスミスが発表した作品。
宇宙のスカイラーク(創元推理文庫)の後書きで“IPCの宇宙犬”として紹介されている。古手のファンの中には、このタイトルでは内容がさっぱり分からず困惑した経験をお持ちの方も少なくないであろう。

実はちゃんと邦訳が出ており、早川SF文庫の“火星航路SOS"がそれである。創元推理文庫の“惑星連合の戦士”も訳者とタイトルこそ異なるが同じ内容である。

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石油霊媒[せきゆ・れいばい](大宇宙の探求者)

  1. 作中に登場する一種の超能力者。試掘や調査抜きに、どの地域に油田があるか知ることが出来る。本物はめったにいないとされる。

  2. 面白いアイデアだなあと思っていたら、元ネタがありました。1943年にオクラホマ州で占い好きの農夫が一種のダウジングを使って偶然に油田を発見し、大騒ぎになったことがあったそうです。また、これと関連して、1950年代のアメリカにおいて一大ダウジング・ブームが起きていたそうです。(1943年の出来事には、実は傑作なオチがついています。詳しくは教養文庫刊“奇妙な論理II”で!)

  3. そういえば、アシモフ自伝の中で、J.W.キャンベルが疑似科学にハマッてしまったエピソードが紹介されていましたね。

絶縁[ぜつえん](銀河パトロール隊など)

  1. 熱,電流などに対して、それらが伝わらない様な状態。またはそのような性質のこと。
    技術屋さんの世界では、カタカナで「アイソレーション」と言ってしまうことが多くなりました。
    超低温(または高温)の惑星表面に着陸した時など、「この宇宙服は完全に絶縁してある」と言うふうに使われている。

  2. 筆者は電気回路設計が生業のため、「絶縁」と言えば電気的なそれを頭に浮かべてしまい、なんとなく座りの悪さを感じていたのだが、広辞苑によれば「温度」に関しても「絶縁」という用語で良いのですねぇ。

設計図[せっけい・ず](参考)

  1. 機械メーカーに入社して最初に知ったことの一つは、“紙の図面という代物がいかに分量があってかさばるか”ということだった。たとえ卓上に載る程度の機械でも、紙の図面にすると電話帳数冊のボリュームにはなってしまう。

  2. 昔のスパイ映画に見られるような掌サイズのカメラ(内蔵フィルムは多めに見積もっても30枚くらいかな?)で撮った写真で盗み取れる情報などたかが知れている。本気で“秘密兵器の設計情報”を持ち帰ろうとしたら、大型トラック2・30台で乗り付けて図面と設計資料とサンプルをごっそり持ちかえった上に、実設計者を搭載機器一台につき最低3人(機構+電気+ソフト)、合計で100人以上は誘拐する必要があろう。(他人の書いた図面や設計資料をきちんと読解するには、オリジナル設計者以上の技術力が必要である。)

  3. まことにスマートさに欠ける風景だが、実際にアメリカがドイツからV2の資料を持ち去ったときは、特別列車を仕立てて技術者集団と資料をトン単位で運び去っているのである。

  4. もっとも現代の兵器の場合、プライムメーカにも搭載機器関連の詳しい設計資料は置いてないので、**重工とやらにだけ忍び込んでも徒労に終わることはうけあいである。

  5. ところで、ムウ帝国は伊403潜に残されていた図面(前後の事情から判断して設計案と言うべきだろう)一枚から轟天号の性能を知ったということになっている。これはおそらく几帳面な技術者が図面の隅っこに“仕様要目”を列挙していたのであろう。
    この時点では本当に実現するかどうか怪しい仕様案のスペック(結果的には、ご存知のとおり計画通りの性能となった)を見て「海底軍艦=帝国にとって最大の脅威」としたのは勇み足が過ぎる、とお考えの向きもあろうが、「安全保障上の脅威を大きめに評価する」のは昔から良く使われる予算取り手法である。以上の「事実」から、ムウ帝国においても地上の国家と同様の軍産複合体が存在していることが推測できる。

  6. ついでに言うと、実際には“設計図”という呼称の図面はない。

零戦と光子ロケット[ぜろせん・と・こうし・ろけっと](ペリーローダン・シリーズ)

  1. ペリーローダンのあとがきにおける、訳者の松谷健二氏の言葉から。
    1971年スタートの日本語版(ハヤカワSF文庫)に対して原書の刊行が十年前(1961年)に開始されており、しかも原書の刊行ペースが「週に1冊」のハイペースであることから(当時の日本語版の刊行ペースは年に4冊程度)、論理的には永久に追いつけない状態であることをなぞらえて言ったもの。もちろん日本語版が零戦だよ。

  2. このごろでは「ほぼ1ヶ月に1冊」という驚異的なペースになっており、「零戦」から「サターンVロケット」位に出世したと言ってよかろう。

占星王[せんせい・おう](占星王をぶっとばせ他)

  1. 梶尾真治氏の「占星王をぶっとばせ」「占星王はくじけない」に登場する。
    自分の運勢(占星術では星の配置)を都合よく変更するためだけに惑星をまるごと破壊するのが目的と言う、おそらくはSF史上最も自分勝手で凶悪なキャラクタの一人。

  2. しかしながら良く良く考えてみると、運勢(ここでは天球上の星の配置)を変えるためには惑星でなく恒星(あるいは恒星系そのもの)を消していかねばならないのではなかろうか?
    察するに、何しろ自分自身の将来がかかっているのでさすがの大悪党も慎重にならざるを得ず、少しずつ変更(トリミング)をかけているということであろう。大胆不敵・凶悪で名を売った占星王だが、実は結構デリケートというか、小市民的とも言える神経の持ち主らしい。

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ゾル人[ぞる・じん](ジェイムスイン教授シリーズ)

  1. 「超光速宇宙旅行」の技術と一種のサイボーグ体による「不死」を確立し、これを足がかりに惑星をあげて宇宙探検にいそしむという、好奇心に満ち愉快でおせっかいで端迷惑で少々無責任な種族。

    種族全体が「オーバーテクノロジーを振りかざした植木等」であると思えば良い。

  2. 足が4本、手(触手)が6本という形態なので、そのサイボーグ体も人間の体とは似ても似つかないデザインである。また、一種のテレパシー能力があり、初対面の異星種族に対してもコミュニケーションが可能と言う特技をもつ。

  3. 4000万年後に太陽系を訪れ、カプセル衛星の中で眠るジェイムスイン教授(の脳)を機械の体に移植して生き返らせた。 こう書くと善意に満ちている連中のようだが、本当の動機は「何があったか、無理矢理生き返らせて話させよう」であり、決して「可哀相だから仲間にしてやろう」などではない。「おーいっ、ちっとは相手の事情も考えんだゾ」と言いたくなるのは筆者だけではあるまい。 この「よせば良いのに何にでもハナを突っ込みたがる」性質はシリーズを通じて変わらず、行く先々で冒険(というか、トラブル)に巻き込まれていくことになる。

  4. 自分達の技術を簡単に他の種族にも分け与えてしまうという特性があり−−−そんなところで燻ってないで、サァ一緒に探検に行こうゼ!−−−と言うことらしいが、時には、この技術の独占と宇宙征服をもくろむタチの悪い種族に滅ぼされかけたりしたことさえある。しかしその後もあんまり対策らしいものを立てた様子も見られない、能天気な連中である。

  5. それにしても、ゾル人と接触した地球人がジェイムスイン教授一人で本当に良かった。 もし地球文明がまともにゾル人と接触していたら、それこそ大変である。何しろ、地球人くらい「おせっかいで、好奇心が強く、わがままで、図々しく、無責任で、好戦的」な種族はとうてい思い付かないから、ゾルの技術を吸収した地球人が銀河中に広まった日には(たぶん、アっと言う間に銀河中にのさばるものと思われるが)、他の「まともな種族にとって」迷惑さはゾル人の比ではなかろう。


ゾルの機械人[ぞる・の・きかいじん](ジェイムスイン教授シリーズ)

  1. ゾル人が開発した機械の体に脳を移植した者たちのこと。一種のサイボーグと考えて良い。

    頭部の周囲に多数の目が並んでおり、加えて頭部天頂部分にも目があるため、一度に360度の半球をカバーする事ができる。また直方体形状の胴体の周囲4面に触手が合計6本、同じく胴体底部周囲に脚が4本ある。

  2. 機械人になると生身時代の固有名は使われなくなり、例えば14PY202,6W438といったように、全て英数字の組み合わせによる一種の識別符号で呼ばれるようになる。 このため、彼らが会話するシーンはまるで電気部品同士の会話のようなシュールさすら漂っている。



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