あ行か行さ行た行/な行/は行ま行や行ら行
スペースオペラ用語辞典/な行

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NASA[なさ](参考)

  1. ご存知「アメリカ航空宇宙局」の略称。
    NASAそのものについては大元帥御自身の著書をお読み下さい。良く知ってる人も知らない人も楽しめること請け合いです。

  2. ちょいと前にNHK−BSで放送していたミニシリーズ「人類月に立つ」は素晴らしい出来でしたね。真空の宇宙空間には(空気による遠近がないので)CGの隅々までくっきりした映像がよく似合ってました。

    SF大会でいつか、「ライトスタッフ」と続けて上映したいですなぁ。


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21MM392[にーいち・えむえむ・さんきゅうに](ジェイムスイン教授シリーズ)

  1. ヒータ電圧21Vのウルトラウェーブ帯増幅用真空管の型名。メーカーはニール&ジョーンズ・エレクトリック社。
    そのユニークな形状(龕灯形)と修理保証期間の長さ(製造中止後4000万年)で良く知られている。

二重星[にじゅう・せい](参考)

  1. 比較的同サイズの惑星同士がお互いの(共通重心の)周囲を回りながら、さらに恒星の周囲を公転しているというもの。
    普通は月は地球の衛星という扱いなのだが、太陽系のほかの惑星/衛星系と比べて見るとほとんど二重性と言っても良いくらいである。

    他でも書いたが、冥王星とその衛星の関係も、地球と月以上に二重星な関係のようである。

  2. 英語ではダブル・スター(Double-Star)。ハインラインの「太陽系帝国の危機(最近、ダブル・スターに改題された)」の現題がこれで、読んだ方はご存知のように「二人のスター」「二つの星(地球と火星)」とでも言う意味に二重に(ダブルに)使われている。


20メートルトン水爆[にじゅう・めーとる・とん・すいばく](銀河パトロール隊)

  1. 20メガトンの水爆ということかな?
    考えれば考えるほど理解に苦しむ用語である。しかしながら「とにかく強力な爆弾らしい」ということだけはきちんと伝わってくるのがスゴイ!

    「光速の数百倍の加速度」などと並ぶ傑作「スミス語」の一つと言うべきか?

2000年前のハスの花[にせんねん・まえ・の・はす・の・はな](参考)

  1. 1951年(昭和26年)、大賀一郎博士が千葉県の検見川遺跡から3個のハスの実を発見、そのうちの1個が時を越えて開花したもの。博士の名をとって「大賀ハス」と名づけられた。

    「大賀ハス」は町田市相原の円林寺などから薬師池に贈られ、今でも約3000平方メートルのハス田を覆っており、盛期には数百個の花を咲かせるのが見られる。

  2. 数多くの東宝特撮映画のなかで、平田昭彦扮する博士(大抵は古生物の専門家)が楽しそうに披露するせりふから。

    大抵は古代生物(ゴジラとかラドンとかですな)の強靭な生命力について問われて、「ついこないだ(注.これは昭和30年前後の作品)も2000年前のハスの花が花を咲かせたじゃないか。生命力というものについて我々の知識など微々たるものさ。」などと得意そうにいうのである。

    池袋文芸座地下の東宝特撮映画のオールナイト上映会などでこのセリフが出ると、誰からともなく拍手が沸いたっけなぁ。 家庭用ビデオの普及する前の、古き良き時代の出来事じゃった....。

  3. このセリフは映画の中にとどまらず、確か「ウルトラマン:怪獣殿下(ゴモラの登場エピソード)」中でも披露されたような気がするのだが、ちょっと未確認である。

    演技とは言えいかにも楽しそうなその口調から、平田昭彦氏ご自身もお気に入りのセリフだったように思えてならない。氏がもう少し生きておられたら、平成版ゴジラにおいてもこのセリフが聞けたかもしれない。誠に残念である。


ニードル・ビーム[にーどる・びーむ](銀河パトロール隊など)

  1. 針のように鋭く集束された破壊用ビームのこと。

    たとえ細いビームでも、スクリーンを貫通してピンポイントで重要部分を破壊すれば防御スクリーン全体を無効にしたのと同じ、と言う訳で敵艦をなるべく傷つけずに拿捕するために使用される。

  2. 「火星航路SOS」では、強力なニードルビームの一振りで宇宙船が次々に輪切りにされてしまうシーンが印象的。


日本SF大会[にほん・えすえふ・たいかい](参考)

  1. 毎年夏に日本のどこかで開催されている「SFファンのお祭り」のこと。

    大会というと「政党の党大会」のように特定の目的のために集まるという印象が強いが、こちらは「とにかく集まって楽しく騒ぎましょう」という内容であり、正しく「お祭り」と言うべきであろう。

    SFファンという人種はその歴史を通じてメジャーになったことがなく、ややもすると孤立しがちであるため、このような同好の士の集まりは貴重であり楽しいこと極まりない。
    最近はアニメーションやコミックのファンも増えて以前とは多少の様変わりをしているという人もいるが、何しろ筆者自身がそうした世代の最初に属しているので、本当のところ良く分からない。(と言うか、それほどの違和感は感じない。)

  2. 主催も企画もファンの手になるものなので、社会人ファンにとっては開催側に回ると並大抵の苦労ではない。反面、無事閉幕した時のよろこびも比べる物が無いそうである。


ニュートリノ[にゅうとりの](参考)

  1. 中性微子とも言う。
    その名の通り、電気を帯びない(中性の)非常に小さな素粒子で、その質量は本当に0であると言われた時期も合ったほどである。電子の13000分の1程度の質量を持つと言う説もあるが、何しろ捉えるのが非常に困難なもののため、良く分かっていないようである。

    このニュートリノというやつは太陽からも相当量が放出されているらしいのだが、余りにも小さいため他の粒子と反応する確立が非常に非常に小さく、我々の肉体どころかこの地球さえもズボズボ貫通してしまいほとんど何の痕跡も残さないそうである。
    このように貫通力の極めて強い粒子なので、超長距離通信に利用すれば好都合である。電磁波が到達できない星間物質に満ちた領域でさえ、ニュートリノ通信なら信号を伝達できるかもしれない。ただし、受信するのも並大抵では不可能で、おそらく最小でも惑星クラスの受信アンテナが必要なのではあるまいか。

  2. もしもニュートリノがわずかながらも質量を持っているとすると、何しろニュートリノはこの宇宙でもっともありふれた物であるため、1つ当たりは微量でも合計はニュートリノ以外を全部集めた量の100倍以上と見積もられているそうで、微子どころか...実は巨大な存在である。
    従来見逃されていたこれだけの質量が追加されるとなると、これらが引き合う重力は無視できず、遠い将来ビッグバンの勢いにブレーキがかかることは必至で、再びこの宇宙が収縮に向かうのに十分な量となるのだそうだから、これに質量があるかどうかは大問題である。まあ、我々の生活には当面関係はないと思うが...

  3. 以上、素人が恥知らずにもアンチョコ片手に書いてきたのだが、こうしたニュートリノの性質に似た物を聞き覚えはないだろうか。
    質量が本当に0がほとんどなく、この宇宙でもっともありふれた物質で(つまりこの宇宙空間をひたひたと満たしており)どんなものでも通り抜けてしまう...光の媒体ではないものの、これこそスペースオペラに登場するエーテルそのものとは言えまいか?


ニュートロ・ニューム[にゅーとろ・にゅーむ](スカイラーク3号など)

  1. 中性子星の中心核部分で形成される「中性子100%でできた物質」で、力場で磨き上げることにより、高次ビーム用レンズとなる。

    あらゆる反応に対して考えつく限り最高に安定している物質、と思われる。

  2. わざわざ中性子星まで採りに行かなくとも、ノルラミンの科学力をもってすれば合成できそうな物だが、高度な宇宙船が実現しているスカイラーク世界では採りに行く方が「手っ取り早くて安い」ということらしい。


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熱線砲[ねっせん・ほう](参考)

  1. 電磁波の一種で高熱を伝え、これでもって目標を破壊する兵器。 クラシック宇宙活劇においては、小はピストル型から大は宇宙船の主砲まで様々な熱線砲が登場する。

    名前だけを見ると、赤外線などの「光としては比較的長波長」のものを指すようにも思えるが、大抵の場合「青白いビームがほとばしる」ことになっており、かなり雑多な波長が混ざっているようである。 レーザー光線一般を指すようにも思えるが、定かではない。

  2. キャプテンフューチャー・シリーズでは、コメット号以外の宇宙船の兵装は大抵これである。 コメット号を含め、サイクロトロン搭載の宇宙船では豊富な電力が利用できると思われるので、これを利用して熱線砲を稼動させていると思われる。 囚人護送用の大型宇宙船などでは兵装用の専用サイクロトロンを持っている可能性もあるが、中型〜小型の宇宙船では推進用のそれと兼用であろうから、あまりに景気良く熱線砲をブッ放していると加速の足を引っ張ることになり兼ねない。

    惑星パトロールの船を見掛けて即応戦する船よりも、何もしないで全力で逃げ出す方がよりクレバーで手強い海賊なのだろう。


熱力学の第二法則[ねつりきがく・の・だいに・ほうそく](参考)

  1. カンタンに言うと「放っておくと熱は高いところから低いところへ移る(広がっていく)が、その逆はない。」ということ。エントロピー増大の法則と同義。「どんなに部屋を整理しても、数日するとまた散らかってしまう」現象の説明にも応用(悪用)される。

  2. 「透明惑星危機一髪」において、キャプテン・フューチャーが熱力学の第二法則が成り立たないことを証明しようとするという楽しいエピソードがある。これの結末については読んでのお楽しみだが、本当に熱力学の第二法則が成立しなかったらエライことである。水道は勝手に温泉と化し大気中に突然真空が生じる、などといった天災がそこいら中で発生するだろうから、これだけで十分に「太陽系の平和なぞ保てない」状況になってしまう。

  3. さらに深読みをすると、「輝く星々のかなたへ」で登場する「物質生成の場」で起きている現象(エネルギーから物質への大量変換)は、間接的にだが「第二法則の不成立」の証明ではないだろうか。物質生成の場の内部なら十分に「非常に特殊な状況」と言えそうであるし、我々の日常において見られない現象が起きる余地はあるかもしれない。「輝く星々のかなたへ」において銀河系深遠への遠征を即時に決意した裏には、「第二法則の成立・不成立」に関するキャプテンの個人的な興味もあったのではあるまいか。


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脳[のう](参考)

  1. 人間の臓器の一種。思考・判断・記憶などの複雑な動作を受け持つ。精神や個性といったものの多くは、ここに由来すると考えられている。

  2. ご存知「生きている脳」ことサイモン・ライトは大脳のみの存在である。最初は自分で移動することもなかったため、あえて歩行時のバランスを取ったりする必要がなく、また消化・吸収および呼吸・循環の必要がないため不随意筋をコントロールする必要もない、という訳で脊髄・小脳・中脳などの大部分が不用になったということらしい。 原作の後半で移動する能力を得るが、この場合は小型のジャイロ装置を搭載して姿勢制御を自動で行っているのであろう。

  3. 似た様な境遇だが、ジェイムスイン教授の場合は脳組織のみならず、かなりの神経系がそのまま移植されていると思われる。教授の場合は少々変わった形ではあるものの一応体があって自分で運動できるため、これらに接続する神経系が必要だからである。 ご存知のように、ゾルの機械人の手足の数は地球人のそれよりも随分多いので、神経系の割り振りには工夫が必要である。(組込み型マイクロチップのI/Oポートを割り振るのと同じノリですな。)おそらく触手一本につき指一本なのであろう。

    もしくは、背中の2本には足用のポートを割り当てているという可能性も高い。この場合歩行は半自動となり、教授自身から見ると一種の動力付きの「輿」に乗っかっているような感覚であると想像される。 ゾルの機械体は生きている時の形態を問わないようであるし−−−4本足以外の生物に4歩足歩行を新たに覚えさせるよりも−−−この方が簡単な解決法であろう。


ノーチラス号[のーちらす・ごう](海底2万マイル)

  1. フランス人作家ジュール・ベルヌ作「海底2万マイル」に登場する潜水艦。オーナーのネモ艦長の個人的な復讐のために建造され、仇の経営する会社が所有する船を次々に撃沈して行く。
    艦内の全ての動力は電気でまかなわれ、世界中のあらゆる海域に出動可能である。また深海に耐える強度を持った船体とスパイクのように尖った艦首(ラム)による体当たり攻撃が可能で、どんな頑丈な軍艦も一撃で撃沈可能である。

  2. 正しくSF史上最初のスーパーメカで、行くところ敵なしの超兵器として縦横無尽の活躍をする辺りまるで海底軍艦のよう...でなく、こちらがオリジナルでした、もちろん。

    ノーチラス号というキャラクタが持っている「輝き」だけを取り出して冒険小説に移植したのが押川春浪の「海底軍艦」である。ここにはノーチラス号が持っている「復讐の兵器という影の面」はほとんど見られない。しかし、これがために明朗な構造の冒険活劇として成功しているとも言えるだろう。

    一方、我々に馴染深い東宝映画版「海底軍艦」の方は、押川春浪の原作に登場する「電光艇」のイメージを更に100倍くらい拡大して特撮戦争映画に移植---押川版のイメージを通過---したものではなく、むしろ押川版(原作)をバイパスした---ノーチラス号+空飛ぶ戦闘艦(こちらもベルヌ作品)のストレートな子孫というべきキャラクターであり、ためにスーパーメカ振りはより際立ったものになっている。
    また制作年代を反映して「平和国家を目指す日本」が所々で強調されており、これがかえって「海底軍艦:轟天号」にノーチラス号同様の陰の面(太平洋戦争の続き---一種の復讐のために作られた)を持たせることになっている。元々轟天号はV号兵器(ヴ1号?)なのだ。
    ? こうした点からも、東宝映画版「海底軍艦」はキャラクターのみならずストーリーも「海底2万マイル」の血を見かけよりもずっと濃く受け継いでいるとは言えまいか?

  3. 原作の発表は1869年(明治2年)であり、もちろん現実に実用化された潜水艦など無い時代(最初の実用潜水艦の建造は1989年)である。何しろ1869年と言えばエジソンの電球(1879年に発明)以前のことで、電気エネルギーの応用について具体的なイメージを持った人はほとんど居なかったころに書かれている訳で、ベルヌという人はやはり時代から飛びぬけたものを持った人だと思わざるを得ない。

    言うまでもなく、本作の成功は何と言ってもノーチラス号というメカニックの魅力によるところが大きい。「海底2万マイル」は世界最初のメカニック小説と言ってもよいであろう。

    何回も映像化されているが、何と言ってもディズニープロダクションによる映画が最高傑作である。
    これに登場するノーチラス号のデザインは特に人気があり、特撮メカニック・デザインのスタンダード(お手本)の一つと言って良い。

  4. フランス製のスペースシャトルが打ち上げられる際には、是非「ノーチラス」とか「ネモ」とか命名していただきたいものである。


ノヴァ[のう”ぁ](透明惑星危機一髪)

  1. 一般には「新星」の意味だが、ここではウル・クォルンが建造した巨大で強力な外宇宙航行用宇宙船の名称。
    なぜか地下に埋没した出口の無い大ドックで建造された。「地下鉄の電車」でさえ出口を考えると悩んじゃうというのに、一体何故宇宙船を地下で作ったのか?...の答えは読んでのお楽しみ。




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